●LOVE FORTUNE 3●
約束の月曜日――仕事が終わって家に帰ると、塔矢はもう来ていた。
たぶん狸寝入りだろう彼女の頬に、冗談でキスしてみた。
柔らかくて綺麗な肌…。
次第に冗談じゃなくなって、止まらなくなった。
耳に、瞼に……そして口にもしてもいいかな…って思ったところで塔矢が起きてしまった。
残念。
「…おはよ」
「………」
たちまち真っ赤になる彼女。
オレもつられて真っ赤になった――
「…昨日と一昨日、彼女…来たの?」
「ああ、昨日だけだけどな」
「…そう」
いつも通り打ち始めて、中盤に差し掛かったところで、塔矢が彼女のことを聞いてきた。
やっぱ気になるのかな?
塔矢の目が何だか「いつ別れるの?」って聞いてるみたいだった。
ホントいつ…なんだろう。
いつまでこの無意味な交際を続けるんだろう。
オマエが告ってくれたら…すぐにでも別れるんだけど?
「…ね、毛布とこのソファー…今夜借してくれる?」
「ここで眠るつもりか?ダメだ。風邪ひく」
「…じゃあキミのベッドを借してくれ」
「え…」
ベッド…?
「オレに風邪ひけと…?」
「キミも一緒に寝ればいい」
「無理…言うなよ。オレら別に…恋人同士でも何でもないんだから」
「……そうだね」
さすがに顔が熱くなってきた。
一緒に寝ればいい…って、簡単に言ってくれるじゃん。
襲われてもいいのか?
襲ってもいいのか?
今度はキスだけじゃ済まねぇぞ?
「でも…恋人じゃないと、一緒に寝ちゃダメなのかな」
「普通はな」
「普通は…だろう?」
何だよ、オレらは普通じゃないって?
そりゃあ…普通じゃないよな。
恋人同士じゃないけど…明らかに両想いだし。
オレは一応彼女はいるけど…いつ別れてもいい彼女だし。
あれ?
じゃあもしかして問題ナシ?
というか今日の塔矢……ちょっとマジじゃねぇ?
「でも…やっぱりキミの彼女に悪いかな。きっと怒るよね…?」
「ああ…女なんか泊めたってことがバレたらキレられるな。フラれるかも」
「じゃあキミがフラれたら…責任取って僕がキミと付き合ってあげる」
「じゃあ…それでもフラれなかったら?そもそもバレなかったら?」
「キミが彼女をフるんだ」
「………」
やっぱ…マジだ。
オレと彼女を別れさせようとしてる。
体を使ってでも、オレを手に入れようとしてる。
「…僕が緒方さんとの婚約を破棄して…そろそろ一年なんだ」
「…そうだな」
「もういい頃だと思う。言うよ」
「……」
「好きだ…進藤」
CONTINUE!