●LOST LOVE 7●





「昨日ね、緒方さん…婚約者を連れて来てたんだ」

「ふーん…」

「彼女と一緒にいる緒方さん…すごく安心するって顔してた。幸せそうだった」

「……」

「僕には絶対あんな顔させてあげれない。……僕の負けだね」

「塔矢…」



昨日の結婚祝いで何を感じ、どう思ったのか、塔矢が一つ一つ丁寧に話してくれた。

婚約者がすごくいい人だったらしい。

でもさ、いい人だからって…諦めれるのか?

好きだったんだろ?緒方さんのこと……



「…僕ね、本当言うとちょっとだけ自信があったんだ。緒方さんが今まで付き合ってきた女性に対する態度と、僕への態度が…少し違ってたからね」

「それは…」

「うん…。僕だけ特別なのかと思ったけど…そうじゃなかったみたい。単に僕が師匠の娘だったからだ」

「……」

「他の女性は緒方さんのこと…本気だったのかな?愛してるのか愛してないのか、皆曖昧な態度ばかりとってた。緒方さんがあえてそういう人を選んでたのかもしれない」

「……」

「寂しい人だと思わない?でも僕だけは…本気で愛してあげる自信があったんだ」

「塔矢…」

「でも…僕は必要なかったみたい。緒方さん…婚約者の人にすごく愛されてた。そして緒方さんも…。それだけが僕と彼女の違い。僕の負けだ。僕は緒方さんに愛されてはなかったから」


塔矢の目から…涙が零れた。

そんな彼女を見てたら、もちろん抱きしめたくなって――直ぐさま抱きしめた。


「オレはオマエのこと…愛してるよ」

「…うん」

「一生愛してやる。…例えオマエがオレのことをどう思っていようとな」

「……」


塔矢が涙を拭って…オレの顔を、目を、じっと見つめてきた。

そして――


「―……ん……」


キスされた――





「…ん、…塔矢…?」

「僕が緒方さんのこと…もう大丈夫だと思ったのは…キミがいたからだよ」

「え…?」

「キミがいなかったら…きっと諦めきれなかった。でもキミが僕のこと…好きだって言ってくれたから…昨日も前より辛くなかった」

「塔矢…」

「キミにかけてみてもいい…?緒方さん以上に…キミのこと好きになれそうな気がするんだ」

「ホント…に?」

「うん…」

「塔矢っ…!」


もっと強く抱きしめて――今度はオレの方からキスをした――


「好きだ…塔矢」

「うん……僕も」















数ヶ月後――緒方さんの結婚式が行われた。

もちろん塔矢もオレも披露宴に招待された。

緒方さんが仕組んだのか、なぜかオレらは隣同士の席で…塔矢の表情が丸見えだった。


笑ってる…。

心から祝ってやれてる。

やっぱり塔矢には泣き顔より笑顔の方が断然似合うよな。


「…いいな。幸せそう」

「じゃあオレらも結婚しちゃう?」

「そうだね」


マジで?!






結婚式の翌日――オレは指輪を用意して、彼女に正式にプロポーズした――











―END―











以上、アキラの失恋話でした〜。
アキラさんが好きになるのは、ヒカル以外だとやっぱ緒方さんしかいないんじゃないかな〜?と思います。
でも年が離れすぎじゃない?たぶん一回り…。いやもっと?15歳ぐらい上になるのかな?
ま、緒方さんのことは置いておいて、とにかくどっちかが失恋して慰めてあげてるうちに情が移って〜な話が書いてみたかったのです。
まぁうちのヒカアキですから、慰めるといえば体で!しか思いつきませんが(笑)
体から繋がって、次に心〜というのが基本です!ふふふ