●KING GAME●





「王様ゲームしようぜ!」



若手ばかりが集まった宅飲み会で、誰かが言い出した。

メンバーは10人。

一斉にくじをひき、一人の王様が残りの9人に番号で命令を下すくだらない遊び。


「5番!コンビニで全員分のビール買ってこい!」

とか

「7番は肩もみ!」

とか

「1と4が目隠し碁」

とか、王様によって命令は様々。



オレがやっと初めて王様になった時にはもう変なテンションになってて、

「6番が女装」

と命令して、6番だった本田さんを泣かせた。

(でも半分ノリノリだったり)



日付が変わる頃には男が多かったせいもあって、ちょっとエロいネタが増えていた。

「9番がTSUTAYAでロリ系のAV貸りてこい」

9番だった門脇さんは待ってましたと言わんばかりにノリノリで出て行ったり。


「2と4がキス」

2番の越智と4番の和谷がめちゃくちゃ嫌そうに微かに唇を合わせて、皆の笑いも最高潮に。

オレも腹がおかしくなるぐらい笑った。


が、次の命令でオレはたちまち真顔に戻ることになる。


今度の王様は和谷。

仕返しと言わんばかりに

「3と8がキス!」

とまたキスネタだった。


「うわ…オレ3だ」

最悪…

「8は?誰だよ?」

「……僕だ」

「へ…?」

ここにいた全員がシーンと一気に静かになった。


8が…塔矢?

塔矢とキスすんのか?オレ……


「無理無理ムリーー!」

即座に逃げ出そうとしたが、和谷を含む何人かに取り押さえられて、塔矢の前に連れていかれた。

「諦めろ進藤。王様の命令は絶対だ」

「何でこんな時まで真面目なんだよーオマエ!嫌じゃないのか??」

「キミは嫌なのか?失礼な男だな」


うう…別に嫌じゃねーよ。

嫌どころか実は大歓迎だよ。

まだ言えてないけど、オレ…オマエに惚れてるし。

だから困るんだ。

こんな遊びで…しかも皆が見てる前で、キスなんかしたくない。

したくない…のに……


「目…閉じろ」

「やだ。オマエ下手そうだから最後まで見てる」

「本当…失礼な男だな」


徐々に彼女の顔が近付いてきて、バクバクと心臓が飛び出そうなぐらい激しく鳴ってるのが分かった。

少し赤い塔矢の頬がすげぇ可愛い…。

やべ…本当にくっつきそう。

どうしよう。

こんな状況で塔矢と初チューしちゃって本当にいいのか…な……



「――…ん…」



一瞬だけ触れた後、さっきの和谷達みたいにすぐに唇を離そうとした彼女。

やだよ。

離さない。

すぐに頭を後ろから引き寄せて――普通の恋人同士のキスをした。

何度も啄んで…歯をなぞるように舌も挿入して。


「んん……んっ…」


もう無我夢中で彼女の口内を犯した。

お…嬉しい。

嫌がってない。

積極的に返してくれる塔矢を舌で感じて、ますますその気になった。

皆に呆れられたっていいや。

命令したのはそっちだろ?


「んっ……ふ…――」


キスも、塔矢への溢れる想いももう止まらなかった。



しばらくすると

「…あーー、バカップルは放っておいて次行くぞ。王様だーれだ」

と周りは勝手に再開し始めた。



「ん……進…藤…」

「好きだ…塔矢。ずっと…好きだった」

「…僕も」


公衆面前での告白は予想外だったけど、誰も聞いてないのと、塔矢がすごく嬉しそうに受け入れてくれたのでヨシとしよう。


「二人っきりになれるところに行こうぜ」

「うん…」



王様ゲームって最高!









―END―








以上、王様ゲーム話でした〜。
大昔にリクエストを頂いていた王様ゲーム話がようやく書けました(^▽^)/
でもリク自体は確かアキラがヒカルじゃない誰か(越智とか?)とキスすることになって、ヒカルが焼きもち焼く話〜だったんですが。
少し違っちゃってゴメンなさい><