●IGOKON U 4●
もう一度結婚し直したオレと塔矢。
二回目の初夜はオレも彼女も幸せでしかなかった。
「塔矢、熱あるのか?」
「ん…?」
情事が終わった後、微睡んでいると、ふとベッドサイドの温度計が目に入った。
ああ…と塔矢が笑った。
「基礎体温付けようと思って」
今日から、と。
「排卵日が分かったら手っ取り早いと思ったんだ」
「排卵日ねぇ…」
排卵日にエッチしたら子供が出来る、そのくらいの知識はオレにももちろんある。
「ま、しばらくは付けなくてもいいんじゃね?」
「どうして?」
「だって、分からない方が楽しめるじゃん」
排卵日が分からないから、とりあえず毎日エッチしよう――そう耳打ちすると塔矢がたちまち真っ赤になって、シーツに顔を隠した。
「キミ…変わったね」
「え?そうか?」
「だって昨日の朝までもっとクールだった…」
囲碁婚と割り切っていたから、彼女には囲碁しか求めなかった。
体は月に一回、どうしてもという時だけ。
もちろんその一回だって超素早く、出す為だけのただの性欲処理。
「無理。オレもうあんな生活には戻りたくない。確かに棋士としてはものすごく成長出来たとは思うけど。でも好きな奴と結婚してるのにロクに触りも出来ない、あんな生活もうマジで耐えられない」
「…でも僕はキミのこと、結婚してから好きになったんだよ?」
「昨日までのオレの方がよかったってこと?」
「どうだろう…まだ分からないけど…」
「よし。じゃ、よく分かり合う為にもう一回しようかアキラちゃん♪」
「え……」
もう一度上に乗り、塔矢の首筋に吸い付いた。
「…ぁ…、進藤、キミ…疲れてないの?今日朝からタイトル戦だったのに…」
「全然。余裕で朝までだって出来るよ」
「え…朝までするの?」
「イヤ?」
「嫌…ではないけど…」
「眠くなったら寝てもいいよ」
オマエが寝た後好き勝手させて貰うけど〜と言うと、塔矢は呆れたように笑った。
でも結局もう一回だけして、後はお互い抱きしめ合って眠りについた。
もちろん朝起きてから、朝の塔矢を堪能したのは言うまでもないけど。
「進藤、あれからアキラ君とはどうなんだ?」
「そうっすねー。ラブラブ?」
「は?」
数日後――十段戦第2局の為にオレは関西棋院に来ていた。
対局前に今度はコーヒーに付き合えと近くの喫茶店に連れて来られる。
緒方先生って絶対明子さんの刺客だよな…。
大変だなこの人も…。
そう思って、オレは先生に耳寄りな情報を伝えた。
「ひとまず真面目に子作りしてみようかと思います。一年頑張って出来なかったら病院行こうかなと」
「ほお」
「だからしばらく塔矢をそっとしておいてあげて下さいって、明子さんに伝えてもらえますか?」
緒方先生はコーヒーに噎せていた。
三ヶ月後――オレと塔矢は一緒に産婦人科を訪れることになる。
結果は7週目。
来年の始めには我が子を抱けるオレらがいた――
―END―
以上、囲碁婚話2でした〜。
昔同じネタで書いたことがあるので、タイトルは2で。
久々にTwitterを始めて、過去に自分が何を呟いてた遡ってみたところ、
こんな感じの呟きを見つけて面白そうだな〜と思い、今回お話にしてみました。
ヒカル君、よく10年も我慢してたね!(笑)
これからは思う存分アキラさんを求めて下さいなvv