●if side:怜次D●〜彩視点〜
12歳七段というとんでもない最年少記録を持つ私の恋人・緒方怜次。
更にはこのルックスに頭脳、そして落ち着いた性格も、女の子達に
「すごい数のチョコ…」
毎年バレンタインになると、男性棋士にはたくさんのチョコがファ
もちろん怜次にも紙袋いっぱいどころか段ボールにいっぱいの量が
「一つ食べていい?」
ベッドに寝転がって詰め碁集を読んでる彼に聞いてみた。
「全部いいよ」
「それはさすがに虫歯になりそう…」
手作りではない、既製品の有名高級チョコを一粒いただくことにす
「美味し〜さすが一粒300円超えだわv」
「よかったな」
全く興味なさそうな怜次。
バレンタインに興味がないんだろうか…。
そういう私も一応怜次の為にチョコを買ってきた。
この段ボールいっぱいのチョコの山を見てしまい、渡すタイミング
「…怜次も食べる?」
「いらない。チョコそんなに好きじゃないし」
「…そうなんだ」
う…、これはますます渡し辛い。
去年ももちろん怜次にチョコをあげていた私。
義理だよ〜って気軽にあげれてたあの頃が懐かしい。
本命チョコって難しい……
このまま持って帰ってももちろんいいけど…、
「じゃあ私からのチョコもいらない…?」
と一応確認する。
するとガバっと起きてきた。
「…いるに決まってるだろ」
と――
「え、でも、チョコそんなに好きじゃないんでしょ?無理しなくて
「チョコは確かに好きじゃないけど」
俺は彩が好きだから。
彩がくれるものなら何だって嬉しい。
――と、頬を少し赤めた彼に言われる。
当然私の顔ももう真っ赤っ赤だ。
「じゃ、じゃあどうぞ…」
カバンから取り出したチョコの箱をドキドキドキと差し出す。
「ありがとう…、嬉しいよ」
「ホント?よかった」
「食べてもいい?」
「いいよ。でも無理しなくてもいいよ…」
包装を解いた彼が早速一粒口にする。
その様子をじっと見つめてみた。
「…甘」
「ほら〜無理しなくてもいいのに。来年からはお煎餅とかにしよう
「いや、大丈夫。でも、他のものもほしいかな…」
「何がほしいの?今年もあげようか?」
そう言うと、怜次の顔が近付いて来て――キスされた――
「……ん…、…ん……」
お互いチョコを食べた後だから、ものすごく甘い味のキスだった。
啄まれて…、そして彼は私の口内に舌をも侵入させてきた。
私の舌を絡め取られる…、すごく大人のキスだった……
「んん…、ん…」
あまりに官能的過ぎる初めてのキスに…、自分の体がちょっと火照
その気になる…って、たぶんこういうことなんだ…と理解する。
キスだけじゃなくて……もっともっと触ってほしくなる。
怜次と一つになりたくなる――
「――…は…ぁ…」
やがて唇が離れると、怜次は私の体をぎゅっと…抱き締めてきた
密着し過ぎてて…彼の表情は見えない。
でも、たぶんだけど…彼もきっと私と同じ気持ちなんだと思う。
私を抱きたいって…きっと思ってくれてる。
でも、きっとまだ我慢しなくちゃって…きっと思ってる……
「…怜次」
「…何?」
「…私達って、いつになったら先に進むの…?」
「…あと1年くらい?」
「…そんな先なの?」
「…本当はもっと先がいいけど、そのくらいが俺の限界だと思う
「…そう。じゃあ、来年のバレンタインにしちゃう?」
「……しちゃう」
彼らしくない反復の台詞に、思わず笑ってしまった。
「いいよ。じゃあ…、約束ね?」
「うん…」
もう一度、私達はキスをした。
約束のキスだ。
来年のバレンタインが待ち遠しい……
―END―
以上、付き合い始めてから7ヶ月後、バレンタインの彩と怜次でした〜。
まだ我慢で来てる怜次君です。でももってあと1年だそうですw
てことで、中3のバレンタインに二人は一線を越えることに決定したそうですよv