if side:怜次L〜彩視点〜





怜次と中出しエッチしてから一週間後。

予定通り生理が来て、私はホッと胸をなでおろした。


すぐさま彼にも教えてあげる。

『生理来たよ〜』と。

するとすぐに返信が。

『よかった』と。


本当によかった。

もしデキてたら私は16歳のママだ。

さすがにそれは困る。


トイレを出てダイニングに行くと、お母さんがお昼ご飯の準備をしていた。


(そういえばお母さんは17歳で佐為お姉ちゃんを産んだんだよね…)



「お母さん」

「なに?」

包丁を止めた母が顔を上げてくる。

「お母さんとお父さんって……」

「え?」


この前の私達みたいに中出ししたからお姉ちゃんがデキたの?

それともちゃんと付けてたけど、失敗してお姉ちゃんがデキたの?


―――なんて、とてもじゃないけど聞けない……



「お母さんは…、に…妊娠が分かった時どう思った?」

「それは佐為を妊娠した時?」

「う、うん…」


少し考えるお母さん。

やがて「嬉しかったよ」と笑顔を向けて来た。

とても綺麗な笑顔を……


「本当に?」

「うん。もちろん彩の時も双子の時もね」

「…そう」

「でもそれはもちろん、ヒカルが受け入れてくれる確証があったからこそだけどね」

「まぁ…、あのお父さんなら、お母さんが妊娠したら大喜びだよね…」

「そうだね、なんせあの男は最初からそのつもりで僕を抱いてきたからね…」


んん?

お母さんから聞かされる真実。

お母さんを確実に手に入れる為に、妊娠という手段を取ったこと。

生まれるまでに結婚出来るよう計算してお母さんに告白したことなど――赤裸々に教えてくれた。


(お父さん…、本当にとんでもない男だ…。知ってたけど…)



「じゃあお母さん達って……、最初から中出ししてたの?」


16歳の娘から聞きたくなかった単語なのかもしれない。


お母さんはちょっと驚いた表情を私に向けて来た。


「まぁ…そういうことだね。なに?彩、怜次君とそういうことしちゃったの?」


――ギクリ


「で、でも、ちゃんと生理来たから…」

「……」

「……ごめんなさい。今後は気をつけます…」

「…そうだね。リスクを伴うからよく考えて行動した方がいい」

「…だよね」


シュンとなる。


「快楽は一瞬だけど、子育ては一生だからね。その覚悟がないうちはやめておいた方が賢明だと…僕は思うけどね」

「…うん」


お父さんはその覚悟があったんだ――17歳にして。

すごいなぁ……

(付き合わされたお母さんは可哀想だけど…)


「…お母さんてどうしてお父さんと結婚したの?」

「ふふ、もちろん好きだからだよ」

「……え?」

「ヒカルと出会えたことで、僕の人生は大きく変わったからね」


進藤がいなかったら僕は何も悩まずに真っ直プロになっていたことだろう。

でもとても物足りない人生を送っていたはずだ――と母は言う。


「彼に出会えて本当によかったよ。お陰で子供達にも出会えたしね

「お母さん…」


お母さんの人生を狂わせたというか、大きく変えてしまったお父さん。

そういう怜次も…、私の人生を大きく変えようとしてるのは間違いない。


「お母さんは…、私が例えば18歳で結婚しちゃったら……寂しい?」

「え…?」

「私、怜次と約束してるの…。怜次がタイトル取ったら……結婚しようって」

「それは……」


母が口に手をあてる。


――そう

これは夢物語ではないからだ。

今はまだ高校1年生で15歳の怜次。

だけど棋聖は既にAリーグにいる彼。

名人も本因坊もリーグ入りしていて。

王座も順調に勝ち進んでいて、おそらく今年も本戦へ進むだろう。

天元も本戦初戦で白星を飾り、碁聖なんて準々決勝まで来ている。

十段なんて前期ベスト4でシード権を獲得している。


そして何より何より――怜次は2月にあったNHK杯で優勝までしちゃってるのだ!!

(ちなみに収録があったのは私達の初エッチの次の日だったりする…)

このままのペースでいくと、彼は確実に高校生の間に七大タイトルのどれかを手中に収めるだろう。


「お父さん…、許してくれるかなぁ…?」

「まぁ…建前上は一度は反対はするとは思うけど。でも彩が本気で望んでるのなら、受け入れてくれると思うよ?」

「…だよね。ごめんお母さん…、私…結婚したい」

「彩…」


怜次が好きだから。

私の為に頑張ってくれてるのも知ってるから。


それこそ今の彼に自由時間なんてない。

私が誘い出さなければずっと本を読んでるか碁盤の前にいるし、AI研究だってかかさない。

とにかくストイックで、勉強量が半端なくて、最近なんて

「高校辞めた方が効率よくないか?」

なんて言い出す始末。

「そんなのダメだよ!怜次と学校でも会いたいもん!」

と何とか繋ぎ止めてるけど…。


「私、結婚したら同居かなぁ?」

「緒方さんと同居するの?」


お母さんが笑う。

それはやめておいた方がいいんじゃない?と。


「だって私…、家事出来ないし…」

「今から練習すれば?例えタイトルは近いうちに取れたとしても、彼が18歳になるまでまだ2年以上もあるんだし」

「…だね。頑張る」

「じゃあ、とりあえず一緒に昼食作ろうか」

「はーい」


お母さんと並んで台所に立つなんて、小さい頃のお手伝い以来かもしれない。

怜次が頑張ってくれてるんだから、私も頑張ろう。

とりあえず彼が好きな、唐揚げとか生姜焼きはマスターしたいなぁと思ったのだった――

 

 


END

 

 



以上、前回の話から1週間後、無事に生理が来てホッとした彩と、母親アキラとのやりとりなお話でした〜。
if
ではこのタイミングで彩は両親の結婚の経緯を知ったみたいですな。

というか怜次、NHK杯優勝してるんかーい。
ビックリですな。きっと放送日はWデートの日とかで、Wデート中に結果を知った彩・楓・細川3人組がキャアキャア大興奮したことでしょう(笑)