if side:怜次J 番外編〜楓視点A〜





「塁斗君、お待たせ」

「楓…」


彩の家に遊びに行った翌々日、私は約束通り塁斗君と最寄り駅で待ち合わせて、彼の家に向かった。


「記録、お疲れ様でした」

「無事済んでよかったよ」

「ちょっとだけ中継見たよ。コマ磨いてるところアップにされてた

「え?!」

「名前もテロップ出てたよ」

「そうだったんだ…、恥ずかしくてまだ見返せてなくて」

「ふふ」


駅から歩くこと10分。

ついに塁斗君の家に到着した。

カギを開けながら彼が

「そういえば4日前に緒方君も来てくれたんだよ」

と教えてくれる。


「え?!塁斗君いつの間に緒方君とそんな親密に?!」

「別に親密じゃないけど…、何か話が合って。将棋の話しても普通に通じるし、勉強のこと何質問しても即答されるし」

「へー」


W
デートで連絡先を交換し合った二人。

その後もマメにLINEし合っていたらしい。

もしかしたら…私以上に。


「あ、将棋も一局指したよ」

「え?!緒方君将棋も指せるの?!」

「普通に強くて驚いたよ。たぶんアマ二、三段の実力くらいあるかも。角落ちで指したんだけど、香落ちでよかったな…」

「ええー…。緒方君ってどんな将棋指すの?」

「まさかの中飛車で来た」

「へー!」


塁斗君の部屋に着いた。

ドキドキしながら中に招かれて、とりあえず私は着ていたコートを脱いでみる。


(どうしよう…、ここは将棋盤の前に座るべき?私も一局指して貰うべき?それとも……)


チラリと彼のベッドを見る。

ここで毎日塁斗君が寝てるんだ…。

そしてこのベッドで今日私達は結ばれるのかな…、なんて思ってると――

 

 


(―――え?)

 

 

いきなり塁斗君に抱き締められる。

そして

「好きだ…楓」

と耳元で囁かれる。

もちろん私も即座に「私も大好き…」と返した――



その後はもう流れるようにコトが進んだ。

長いキスの後、ベッドに押し倒されて…体を触られていった。

もちろん私は「で、電気消して欲しいな…」とちゃんと伝える。

でも電気を消したところで今は真っ昼間だ。

普通に丸見えだ。

恥ずかしがる私の気持ちを読み取ってくれたのか、彼はカーテンも半分閉めてくれた。

全部閉めないのは「楓をよく見たいから…」らしい。

(ひーーー///


ゆっくりと、優しく私に触れてくる彼。

手はもちろんだけど、唇や舌までも使って愛撫される。

キスだって、付き合い始めてからのこの1年間でした合計以上を、今日1日でしてしまった気がする。

しかも……めっちゃイヤらしいキスまで。

舌と舌を絡め合う大人のキスだ。


「は…、塁斗…君…」

「楓…」


素っ裸にされて、彼も素っ裸になって抱き締め合うと、恥ずかしくてたまらないのに…不思議と心地よくてたまらなかった。


「…っ……」


もちろん痛かった。

でも、彩の言う通り我慢出来ないほどじゃない。

何より嬉しくて、胸がいっぱいだったから。


「楓…、好きだ…」


普段全然言ってくれない愛の言葉を何度も何度も口にされて、涙が出そうなくらい幸せな気分になった。

私だけが好きなんじゃないんだって、一方通行じゃなかった、彼にちゃんと愛されてるんだって実感出来たからだ。


「…ぁ…っ、…あ…んっ、…ぁ…っ」


クライマックスは恥ずかしがる余裕なんてもう無くて。

自分の口から信じられないくらいの喘ぎ声が出た。

相変わらず痛いけど、不思議とそれが気持ちよくなってきて――やがて私達は果てた。


「は…ぁ…、はぁ…塁斗…君…」

「は…楓…」


既に汗だくの私達。

最後にもう一度甘いキスをした――

 

 

 

 

 



「今日はありがとう…」

「また連絡するな」

「うん♪」


夕方17時。

塁斗君のお母さんが帰って来る前に私はお暇することにした。

駅まで送ってくれた彼にバイバイと手を振って、私は改札を抜けた

電車の待ち時間に、私は即座に彩にLINEしてみた。


『彩ーー!!しちゃったよーー!!』

と直ぐ様報告だ。

『お疲れさま!!』

とすぐ返事が返ってくる。


『彩の言う通りだった!2回目は全然痛くなかったよ』

『え〜何回したの〜?ニマニマ』

2回だけだよ』


そう――2回してしまったのだ。

1
回目が終わってしばらく裸のままピロートークしていたら、

「楓…、もう一回いい?」

と彼がキスしてきたのだ。

(きゃーーー///もう好きにしてーーー)



『彩の言う通りだった。私も塁斗君のこと、もっともっと好きになったよ』

 
『よかったねぇ』


彩にLINEしてる途中で、彼からもLINEが来る。

直ぐ様開けると――


『今日はありがとう。春休み中にもう一回会いたい』

と書かれてあった。


『私も会いたい』

と直ぐ様返したのは言うまでもない――

 

 


END

 

 


以上、細川君×楓の「これまで〜初エッチ」でした〜。
体の関係がないのに名前で呼び合ってる二人なので、小さい頃からの付き合いなのかな?と小1で出会ったことにしてみました。
研修会はともかく海王中にまで付いてくる楓ですので、細川君に気持ちがなかったら、ただのストーカーですな!(笑)
まぁ細川君も好きだからよかったですが。

にしても怜次は将棋も指せる模様です。奨励会三段に香落ちでよかったかも…って、かなりの実力ですな!きっと角落ちで指した細川君は負けたんでしょう…。

さて、最後の楓とのLINEやりとり中、実はこの時彩は怜次とベッドの中だったり。(事後です)
「楓たち、2回しちゃったんだって〜」

と横で寝てる怜次に即報告しちゃう彩です。
「ふーん…、じゃあ俺らはもう一回しておくか」
3回目をスタートさせる怜次と彩なのでした