●HINAMATSURI 2●






「…なぁ。もうそろそろホントのこと、話してくれてもいいんじゃねぇ?」

「…そうだね」

「何が原因で離婚したんだよ?」


深呼吸した塔矢は…オレの目を見つめて、話始めた。


「…亜樹の血液型が…ありえなかったから」

「…亜樹ちゃん何型?」

「B。正確にはBO型」

「旦那は?」

「…AA。でもって僕はABだ…」

「なるほどな。誰の子供だよって感じだよな」

「…だから、離婚届をたたき付けられた」

「…で?本当は誰の子供なんだよ?」

「…信じられなかったよ。たった一晩…ううん、ほんの一時間のことだったのに…」

「……」



忘れもしない5年前の…塔矢の結婚式・前日。

オレは塔矢に好きだと言って、塔矢もオレのことが好きだと言ってくれた。

でも、所詮は結婚式の前の日の話。

もう遅かった。

だからせめて…思い出だけでも欲しいと思った。

狭い車の中で愛し合ったあの一時間…今でも昨日のことのように鮮明に覚えてる。



「…僕も離婚届を出されるまで正直何のことだか分からなかった。主人がA型だってことは知ってたけど、AO型ならB型が生まれても不思議じゃなかったし…キミがO型だってことも知らなかったから」

「亜樹ちゃんはオレの子供なんだよな?」

「…ああ」


ハッキリと頷かれて、オレは喜びを隠せなかった。

嬉しくて嬉しくて顔がにやけちまう。


「オレ、実は初めて亜樹ちゃん見た時…あれ?って思ったんだ。慌てて昔のアルバム見返した」

「キミの子供の頃に似てた?」

「ああ。誕生日から計算してもピッタリだったから、もしかして…ってずっと思ってた」

「言ってくれればよかったのに」

「だってオマエがまだ離婚する前だったし…オレも彼女いたし…」

「………」

「でも、もう別れたから」

ニッと笑うと、塔矢の顔が少し赤くなった。


「…な。オレさ、5年前と気持ち全然変わってないから」

「……僕もだ」

「もう一度言ってもいい?」

「ああ…」

「好きだよ…塔矢」

「僕も…大好きだよ進藤…」

「オレと再婚しませんか?」

「うん…喜んで」


塔矢が承諾してくれた途端に抱きしめて――キスをした――


5年前は叶わなかった想い。

諦めなくてよかった。

待っててよかった。

思い出、もらっておいてよかった!





「亜樹ちゃん、話があるんだ」

「なぁに?」

「お兄ちゃんさ〜亜樹ちゃんのママと結婚しようと思うんだ」

「……」

「お兄ちゃんのこと、パパって呼んでくれる?」

「…うん」


少し戸惑ってはいたが、恥ずかしそうに何とか頷いてくれた。

前のパパより、いいパパになってみせるからな!

でもって、絶対いい夫にもなってみせる!



3月3日―――雛祭り。

オレはこの日、二つの宝物を手に入れた――








―END―









以上、ひな祭りの日の小話&『TOO LATE』の続編でした〜。
バッドエンドはやっぱり悲しいよね!と続きを書くことにしました。
にしても…またしてもいるヒカアキの子供。
名前付けるのが毎回大変です。
そんなに名前思いつかないし…(=_=;)