●HIKARU's BIRTHDAY 27●






『なぁ佐為、そういえばお前って何歳の時に死んだの?』

『私ですか?確か27…でしたねぇ』

『へー』



佐為にこの質問をした時、オレはまだ中学入ったばかりのガキで。

確かに早いなぁとは思ったけど、昔の人は短命だったって聞いてたし、その時はあんまりなんとも思わなかった。

けれどいざ自分がその歳になってみると、その短さに愕然となる。



オレは今日、27歳になった―――












「人生って何が起きるか分かんねーもんなぁ…」

「なに?藪から棒に…」


誕生日の今日、オレは例年のごとく恋人である塔矢アキラとデートをしていた。

映画を観た後、入ったカフェでふと佐為との会話を思い出した。

突然話を変えるオレに、塔矢は首を傾げてきた。


「いやさぁ…知り合いが27の時に亡くなったんだよね。今思えば早いなぁと思って…」

「それは…お気の毒に」

「だってオレらまだまだしたいことあるじゃん?タイトルだって本因坊しか持ってないしさぁ。オマエだってここ最近は女流タイトルだけだろ?」

「そうだね…。悪かったね、女流タイトルしか持ってなくて…」

「あ、ごめん。禁句だった?」


塔矢が拗ねたような顔になった。


「別に!事実だし、今度の王座は絶対に挑戦者になって奪還するつもりだから構わないよ」

「うん、それでこそ塔矢アキラだよな」

「―――で?キミは何が言いたいんだ?」


コホンと咳払いして、きちんと椅子に座り直す。


「だからさ、人生何があるか分かんないじゃん?この後すぐ車に引かれるかもしれないし、癌になるかもしれないし、乗った飛行機が落っこちるかもしれないし」

「…不吉なことを言わないでくれ…」

「やり残したことがあるから千年も幽霊になるんだろ?やっぱ後悔しない人生にしたいよな。思いついたらすぐ行動に移すべきだと思うんだよ」

「?」

「だからさ、塔矢。この後一緒にティファニーに行こう」

「………え?」


塔矢の目が点になる。


「だからティファニーだよ、ティファニー!銀座の!」

「進藤…誕生日プレゼントに時計でも欲しいの?それとも財布…?」

「は?違うって。だーかーらー、指輪買いに行こうって言ってんの!婚約指輪!」

「…もしかしてプロポーズしてるのか?」

「そう!だって死んでから後悔したくないじゃん。オレはまだまだしたいことあんの。タイトルももちろんそうだけど、オマエと温かい家庭も築きたい」

「進藤………」


塔矢の肩が震えだした。

と思ったら、目が何やら潤んできていた。


「嬉しい……もう死んでもいいくらい…」

「は?!だからダメだって!今から家庭を築くんだからな!子供も二人は産んでくれよな!」

「うん…うん!もう三人でも四人でも…」

「いや、そこまでは育てられないから…」

「冗談だよ」




17の時からもう10年も付き合ってるオレら。

女の塔矢にとっては待ち焦がれた、やっとのプロポーズだったのかもしれない。

ごめんな、今までずるずる来ちゃって。

ちゃんとケジメ付けるからな。



「塔矢、結婚しよう。オレの奥さんになって」

「うん――喜んで」







佐為、お前も好きな奴とかいた?

死んじゃった時、やっぱ後悔した?

オレ、これから何があっても後悔しないよう、塔矢と結婚することに決めたよ。

頑張ってお前の分もいい家庭を築くから。

見守っててくれよな―――








―END―








以上、ヒカル君の27歳バースデー話でした〜。
短くてすみませんm(__)m

えーと、佐為が27で〜ってのは全くのデタラメなんですが、あの美しさやら言葉づかいやら何やらで、たぶん20代後半で亡くなったんだろうな〜とは思いました。
(公式で正式な年齢が出てたらすみません…笑って読み飛ばして…)
私自身もヒカル君達とそんなに年齢は変わらなく20後半なんですが、やっぱり早すぎですよ〜(T_T)
まだまだしたいこともある年頃ですよ!うんうん!
まぁ…私の中ではヒカアキラ子は22、3ぐらいで結婚しそうなイメージがあるんですけどね。
たまにはずるずる〜と優柔不断なヒカル君もいいんじゃないでしょうか(^_^)
読んで下さってありがとうございました!
27歳のヒカル君もラブvv