●FIRST VALENTINE●




結婚して初めてのバレンタイン。

僕は一日オフだったので、朝からチョコレート作りに勤しんでいた。

あげるのはもちろん、最愛の夫である進藤ヒカルにだ―――






「ただいま〜」


夜8時。

朝から研究会に行っていたヒカルが帰ってきた。


「お帰り。遅かったね、待ちくたびれたよ」

「えー?研究会の時はいつもこの位の時間になるじゃん」

「…そうだね」

確かにそうだけどね、でも、今日は特別な日だろう?

少しぐらい早く帰ってきてくれるんじゃないかって、期待してたのに…


「…なに?その紙袋…」

「あー…チョコレートだよ。研究会に来てた女流の人達がくれたんだ」


ヒカルが紙袋いっぱいのチョコを僕に見せてくれた。

高そうなブランドチョコレート…。

手作りのも…。


「ま、全部義理チョコだけどな」

ってキミは言うけれど、とてもじゃないけどそんな風には見えなかった。

ほら、添えられてるこのカードがいい証拠だ。


『結婚されてもずっと好きですvv』


差出人は僕たちの結婚にかなりショックを受けていた院生上がりの女流棋士。

というか、今日の研究会のメンバーは男性ばかりのはずだろう?

どうして女流達からチョコを貰うことが出来るんだ!


「あ、何だよその目。何か文句あるのかよ?」

「別に?今日の研究会は男性ばかりのメンバーなはずなのに、どうしてこんなに貰えたのかな〜なんて思ったりなんか、全然してませんよーだ」

「あー…今日は何か突然合同研究会になったんだよ。奈瀬率いる女流の研究会とな」

「ふーん…」

「アキラ、オマエもしかして妬いてるのか?」

「………」


急に嬉しそうになったヒカルがジリジリと僕に近付いてきた。

そして僕の体を腕で包み込んだ―――安心さすように…


「オレが好きなのはアキラだけだからな。チョコだって、他の女から貰っても全然嬉しくないし」

「僕からのチョコレートも…受けとってくれる?」

「もっちろん。でも、後でな」

「え…?―――」


ヒカルの体重が一気にかかってきて、ソファーに倒された。

「ヤキモチ焼いてるアキラめちゃくちゃ可愛い」

と顔中にキスされる。

そのまま身体にも触れてきて…僕らは今日も体を合わせることになった。

今日は…こんなソファーの上で。


「オレさー…この家の全部屋でオマエとするのが夢なんだよな」

「…変態」

「何だよ、アキラだってこの前玄関でした時ノリノリだったくせに!」

「キミが煽るからだ!―……ぁ…っ」


繋がった状態で言い合って、言葉ではいつも負ける彼は体で仕返しをしてくる。

何度も擦られて突かれて、僕の頭はおかしくなってしまいそうだ。


「…は…っ、進…ど…ぅ…」

「仕事以外では進藤って呼ばない約束だろ?」

「だっ…て…、も…う…」

「イキそう?いいよ、イっても」


僕はブンブンと顔を横に振った。


「一緒…に…」

「アキラ…」


一緒に気持ちよくなりたい。

そう伝えると、ヒカルは遠慮なく突き上げ始めた。

薄目で彼の息遣いがどんどん荒くなっていってるのが見てとれた。


「―は…っ…アキラ…いい?」

「ん…僕、も…」


自分の体がドクンと弾けたすぐ後、ヒカルの動きも止まって……下肢にたくさん溢れたのを感じた。

ぎゅっと抱きしめあって、荒い息を落ち着かせる。


「アキラ…好きだ」

「うん…僕も好き…」

「アキラだけだからな…」

「うん…――」


そのままいちゃいちゃし続けた後、体を起こしてふと時計を見ると既に11時。

僕は慌ててチョコレートを渡した。


誰よりも大好きな人に。

誰よりも愛をこめて―――








―END―









以上、結婚後初めてのバレンタインでした〜。
新婚ヒカアキvv
焼きもち焼くアキラさんに、きっとヒカルはメロメロンだよね♪