●FIRST NIGHT●
「ずっと好きだった」
去年のクリスマス―――進藤から告白されて、僕らは付き合うことになった。
初めての彼氏。
進藤にとっても僕は初めての恋人みたいで、そのことが更に僕を浮かれさせた。
「これが終わったら抜け出そうな」
新年会の途中で、こそっと耳打ちされた。
彼の顔を見ると、少し顔が赤くて。
あ…と彼の下心に気付く。
緊張するけど、嫌じゃない。
むしろ嬉しい。
僕ら…ついに今夜結ばれるんだ―――
「ホテル変えるのか?」
「当然。邪魔されたら嫌だし」
閉会後、二次会へ向かう人達から離れ、僕らはホテルを後にした。
でも新たに入ったホテルとは目と鼻の先。
50メートルないかも?
部屋の窓からは、さっきまでのホテルが丸見えだった。
「二次会は最上階のバーだって言ってたっけ?お、ここから見える」
「本当?」
「ほら」
肩を引き寄せられて、見せられた。
真後ろに立った彼の胸からは、心臓の音がハッキリと聞こえて…短い間隔でドクンドクンと鳴り響いていた。
そういう僕の鼓動もものすごく早い。
「…塔矢…」
後ろから抱きしめて求められる声が低くて大人っぽい。
いよいよなんだ…と目を閉じて覚悟を決めた。
「…ん――」
今年初めてのキス。
そして同時に生まれて体を触られた。
ぎこちなく服の上から…確かめるように胸を揉まれる。
「…は…進…ど…」
「塔矢…好きだ…」
「…ぁ…っ…」
お腹のあたりから侵入してきた手が体を滑り上がってきて――最初はブラの上から、そして直に触れられた。
首に押し付けられた唇が、跡が付きそうなぐらいキツく吸っていく。
涙が滲んだ目を少し開けると窓の外の綺麗な夜景が見えた。
そして目の前のホテルも……
「進藤…向こうから見えそうで恥ずかしい…」
「見せつけてやろうぜ」
「ふざけ…」
「冗談だって」
チュッともう一度軽くキスされて、ベッドに連れていかれた。
中央に寝そべるよう促されて――続いて進藤も乗ってくる。
「すげぇ緊張する…」
「僕もだよ…」
「痛かったらごめんな」
「大丈夫…キミだから」
「アキラって…呼んでもいい?」
「…うん。嬉しい…」
「アキラ……」
初めて呼ばれた名前にドキドキしながら、徐々に奥に…深い所まで触れてくる彼の動きを目で追っていった。
気持ちいいような悪いような不思議な感じ。
初めての感覚。
裸にされて、進藤の方も裸になって。
直に触れ合う温かさが心地好いことを初めて知った。
「――…ぁ…んっ…」
「は……アキ…ラ、もう…」
「ん…いいよ、きて……」
一度も広がったことのない場所にずんずん押し入ってきて、その圧迫感にぎゅっと唇を噛み締めた。
痛い……
でも、嬉しい。
進藤と一つになれて、また一つ大人になれて。
「は……も…だめ…」
「オレ…も…」
冬なのに熱くて熱くて熱くて。
お互いの汗が交ざるぐらいになった後――フィニッシュした。
「はぁ…はぁ…アキラ…」
「はぁ…進…藤…」
「すげ…嬉しい」
「僕も…」
「好きだよアキラ…好きだ」
「僕も…好き」
付き合って10日目にして、僕らの関係は一歩進んだ。
もう一歩進むのは恋人達の大イベント・バレンタインで。
僕と進藤は結婚への道を進み始めることになる―――
―END―
以上、スピード結婚話でした〜。
クリスマスに告白して〜年明けに初H。
で、バレンタインにはもうプロポーズですよ〜。
20歳超えてると展開が早くていいわぁ…(笑)
それにしても20歳超えのヒカルが未経験なのは私の書くヒカルではちょっとレアかも?(笑)
きっと10代は碁だけで終わっちゃったんだよね。きっと。