●FEMALE 2●





「別れて…」




いきなりの醜態に進藤の目が見開いた。

「なん…で?」

「…進藤って、何の為に僕と付き合ってるの…?」

「何の為っていうか…お前のことが好きだから―」

「好き…ね」

少しおかしくなって鼻で笑ってしまった。

「何がおかしいんだよ」

進藤の方を睨みつけた。

「今の態度のどこが?キミは僕を抱き続けて気持ちよさそうにしてるだけじゃないか!」

その言葉に進藤が目をしかめたかと思うと、すぐに顔を赤めた。

「…ごめん。お前ってあれするのあまり好きじゃなかった…?」

「そうじゃないけど…!回数の問題!キミは会う度に求めてくるじゃないか!」

進藤の顔が更に赤くなった。

「あー…ごめん。あんまりがっつかないように気をつけようって思ってはいたんだけど…。一度抱いちまうと…歯止めがきかなくなって―」

何だそれは―

「やっぱ無理させてたよな…。今度からは気をつけるから…」

その言葉で頭に血が上った。

「体のことを気遣ってくれるなら!せめて避妊をしてくれ!キミはいっつも―」

言い終わらないうちに進藤が頭を抱えて話し始めた。

「ごめん…それ、わざとなんだ―」



え…?



「…真面目なお前のことだから、妊娠したら絶対オレと結婚してくれるかと思って―」


なに…それ…。


何を言ってるんだ進藤は…。


冗談じゃない…!


「ふざけるなっ!まだ結婚出来る歳にもなってないくせに!」

「悪かったよ…!でもオレだってちゃんと考えてる!今妊娠しても、産まれる頃にはオレも18になってるし!」


え―


「まさか…最初からそのつもりで…?」


妊娠さすつもりで僕を…?


「―うん、…だから今年に入ってから告白した。オレの誕生日…9月だから」


何それ…。


たとえすぐ身籠もっても産まれるのは10月だから大丈夫だって言ってるのか?!

「じょ、冗談じゃないよ!まだ17なのに…。ようやく仕事の方も安定してきた所なのに…」

あまりの衝撃に体が震えだした。

「そうは言うけどな、オマエ自分がモテてるの知らないだろ!」


は?


「何の話…?」

「オレは周りがお前の話をする度に気が気じゃなかったんだ!誰かにオマエを取られちまうんじゃないかって―」

「だからっていきなりそれはないだろ…。世の中には順序っていうものが―」

「だって、あんまり早くから付き合ったら、オレらのことだからケンカで別れちまう可能性があるじゃん…。そしたらプライドの高いお前のことだ、もう二度とオレの元には戻ってこねぇだろうし…」

だから告白するのをわざわざ18になる今年にしたっていうのか?

ギリギリまでねばって―。

だんだん呆れて話すのも疲れてきた…。

「お前だっていつかは結婚するだろ…?そのポジションだけは絶対に誰にも譲りたくなかったんだ。お前が他のやつに抱かれるなんて考えたくもない…」

進藤が唇をぎゅっと噛み締めた。

「それは…僕も同じだよ。キミが他の人を抱いてる姿なんて―」

考えたくもないし…絶対に我慢出来ない―。

「ホントお前の気持ちも全然考えずに悪かったと思ってる…。だから…お前の気がすむまでしばらく触らないから…、別れるのだけは勘弁―」

進藤が焦りと不安を伴った顔で必死に懇願してきた。


「…分かった」


進藤がそんなことを考えていたなんてショックだ…。

そこまでして僕を手に入れたいのだろうか…。

―でも

ただの道具に思われてなくて良かった…。

やり方は横暴だけど、本気で僕とのことを考えてくれてたのは嬉しい―




それからの進藤はまるで人が変わったかのような接し方をしてきた。

今まで抱くことに費やされていた時間は、碁にあてられることもあれば、遊びに連れ出されることもあった。

ようやく普通の付き合い方が出来たようで、嬉しかった。



―けれど

あれ以来進藤は僕に本当に全く触れてこない。

手は繋ぐことはあっても、キスもしてくれなくなっていた。

今までがあれだった分、今のよそよそしい態度には返って不安になる…。


「…じゃあお休み」

今日も僕を家の玄関まで送り届けた後、すぐに別れの言葉を発した。

なんだかそれが異様に寂しくて、帰ろうと背を向けた進藤の服の袖を引っ張った。

「待って―」

「…何?」

「……キス…して?」

そう言うと頬に唇を当ててきた。

「そうじゃなくて…口に―」

「……」

少しためらって、唇を合わせてくれた。


でもほんの一瞬。


軽く触れるだけのキスを―。


「進藤…」

その態度に泣きそうな顔をした僕を見て、眉を傾げて謝る。

「―ごめんな…これ以上のすると、また押さえがきかなくなるから…」

そんなの―

「いいよ…もう―、気はすんだし…。またキミに触れられたい―」

抱いて欲しい…―

「いいのか…?」

進藤の目が嬉しそうに見開く。

「うん―」

そう笑顔で答えると、ぎゅっと抱き締めてきた。

「今度からはあんまりがっつかないようにするから…。大事にするし―、ちゃんと避妊もするからな―」

「…うん―」

そう言って今度は深いキスをしてくれた。

今までしてくれた中で一番甘くてとろけるようなキスを―。


―そして今日は今までで一番最高の夜になりそうだ。



今のキミの子供なら身籠もってもいいかな…なんて思ったけど、すぐ調子に乗るから絶対に言ってやらない。









―END―










以上、ヒカルの強行計画話でしたー。
いやー…何というか…アホだろ。って感じですね(笑)
でもアキラがもし女だったら、確実に手に入れるためにヒカルはこれくらいしますよ、絶対。
うわー、アキラ大・迷・惑!><
まぁ…これはそれなりに収入のあるヒカルだから成り立つ話ってことで。
普通の17歳(高校生)には無理ですよね…、きっと。

…にしてもこういう性転換ネタってどうなんでしょう。
勢いで書き上げてしまったのはいいけど、はたして載せてしまっていいのかどうか…。(載せてしまいましたが)

アキラの一人称については悩みました。
「私」にしてしまうと誰?!って感じだし、まぁ自分のことを「僕」っていう女の子もいるよね!うん、いるいる!(私の周りにもいた気がします)

ちなみに女性のアキラはすごく美人でモテモテだと思います。
美人で控えめ。
最高です。
でも自分では気づいてなかったり。
女性の最強棋士ってのもまた良いですな〜(笑)
女流タイトルはまず制覇だ!

で、このヒカルのアホ計画が成功する続きもあります。
この話を抵抗なく読めた方のみどうぞ〜。
やっぱりアキラが女性って変…と思う方はご遠慮下さい。





2nd FEMALE