●DIARY●





▼▼▼第八章 幸せ  アキラ▲▲▲




長い時間を得て、ようやく想いが通じ合った僕と進藤。

彼はとんぼ返りで日本へ帰るのをやめ、僕を北京市内のホテルへと引っ張っていった。

通じ合った喜びをすぐに肌で感じたいのだとか。

でも…僕も同じだ。

キミともう一度…今度はちゃんと素面の状態で結ばれたい。

もう覚えてないなんて言わせない。



「――……ん……っ」


舌を絡め合うキスをしながら…僕らはお互いの服を脱がしあっていた。

そしてベッドへダイブ。

僕の上に乗ってきた彼。

久しぶりの…そして二度目の、彼を下から見上げる角度に…また胸がドキドキ高鳴った。



「…飛行機に乗らなくてよかった…」

「え?」

「もうチェックインしてたから早く搭乗口に…って何度もアナウンスされてたんだよ。本当はどうしようかすごく迷った。でも…キミを待つことにしてよかった…」

「…なぁ、もしかしてオマエその飛行機の離陸時間…遅らせたりした?」

「キ、キミのせいだからな!恥ずかしい!僕の一生の汚点だ!」

「だからか…」

「え…?」


進藤が夢で見たとかいう飛行機事故は、バードストライクが原因のエンジントラブルで起こったらしい。

でも、僕が飛行機を遅らせたことで、その時間その場所に飛んでるはずの鳥達が一足先に通り過ぎてて…飛行機との接触を免れたのかも……とか、彼は推理していた。

そんな馬鹿な…。

でも、真剣に話す彼を見ていたら、

「じゃあキミは402人を助った救世主だね」

とか、僕の口は褒めていた。



「…オマエを抱くの久しぶり。すげー嬉しい」

「よく言うよ…。前のは覚えてないくせに。というか、酔った勢いで抱いたくせに」

「うん…酔った勢いでつい隠してた本音が出ちまったんだよな」

「え…?」

「オマエのことが好きだって…。オレ…ずっと塔矢のことが好きだった。初めて会った時から。一目惚れだったんだ…」

「………」

「オマエと一生向き合うには…余計な気持ちだと今まで思ってた。でも、人生何があるかわかんないし、もう後悔したくない。気持ちに嘘つくのはやめる」

「進藤…」

「だからオマエも…隠したりすんなよ。子供のこと…何にも知らなくてオレすっげーショックだったんだからな!」

「…ごめん」


その夢でアイルのことも知ったらしい。

でも、僕が日記を書いているのも事実だし……しかもその日記を全部読まれてしまったというのは何とも痛い話だ。

好き勝手書いてたからなぁ…。


「帰ったら、アイルちゃんに会わせてくれよな」

「ああ…きっと喜ぶよ。最近パパ、パパ煩かったから」

「パパってすっげーいい響きだよな〜♪」

「いきなり4歳の子の父親になるけど…大丈夫?」

「オマエとの子供だから全然平気♪何人いてもいい!な、今からもう一人作ろうぜ♪」

「……うん」


僕が頷くなり、再び熱いキスを落としてきた彼。

同時に体も隅々まで触られて…煽られて…そして僕らは一つになった――













「ただいま、アイル!」

「ママ!」


翌日――僕らは帰国したその足で、娘のいる叔母の家を訪ねた。

僕の顔を見るなり抱き着いてきたアイル。

そして僕の後ろにいた進藤には、不思議そうな顔を向けていた。


「ママ…このおにいちゃん…だぁれ?」

「アイルのパパだよ」

「パパ?!」

一気にパアッと明るくなるアイル。

「こんにちは、アイルちゃん」

進藤が挨拶すると、恥ずかしそうに…でも嬉しそうに彼に近づいていった。

「パパ…?」

「うん。よろしくな!でもってごめんな…今まで会いに来れなくて。でも今日からはずっと一緒だからな!」

「うん!」

ピョンと進藤にも抱き着いた。








「これからどうする?オレの部屋に住む?」

「うーん…でも僕は実家から離れられないんだ。両親がずっと外国だから管理しないと…」

「じゃあオレがオマエん家に住むな」

「いいの…?」

「もちろん。塔矢と一緒にいられるなら、もうどこでもOK♪」

「…ありがとう」


早速取りあえず着替えだけ僕の実家に持ってきた進藤。

でも彼の借りてた部屋も5月中には引き払ってしまって、僕らは僕の実家で、三人で、正式に新しい生活を始めることになった。

もちろんすぐに入籍した僕らはもう正式な夫婦。

アイルも戸籍上ちゃんと僕ら二人の子供となった。


「今日からアイルは進藤アイルだからね」

「しんどうアイル…?」

「うん。ママも進藤アキラ。パパと同じ名字になったんだよ」

「パパといっしょ?やったぁ♪」



一方、夢ではサボっていたらしい本因坊戦も今度はちゃんと戦って、彼は見事二度目の防衛に成功した。

その勝利インタビューの時に、ついでに僕らのことを打ち明けてくれた。

もちろんしばらく噂の種にされるのだが、そんなこと全く気にならないぐらい今が幸せだ。






「塔矢、まだ日記続けてんの?」

「もちろん。今日の日記、読んでみる?」

「え?いいのか?」


僕が書いてる横で、横から覗きこんできた彼。

読むなり、目を大きく見開いてきた――


「…マジ?」

「うん…。今日の帰りに病院寄ってきたんだ」

「やった!すっげー嬉しい!!」




『6月15日。久しぶりに産婦人科に行った。結果は6週目。予定日は来年の3月。楽しみだ。』









―END―










いかがでしたでしょうか〜?
とりあえず死にネタですみません…。
でも結果的にはハッピーエンドで終わりましたので許して下さい〜(汗)
普段はオンラインをメインに活動している私。
オフではオンでは出来ないような話にしてみよう!ってことで、今回の話を書くことを決意しました。
死にネタ…一回やってみたかったのよ(笑)
本当はアキラさんを甦させる予定はなかったんですが、あまりにもヒカル君が切なそうだったので急遽ラストを変更しちゃいました(笑)
ま、そもそもヒカ碁は幽霊も出てくる話なので何でもありよね〜ってことで(笑)
でも今はラストを変えてよかったと思ってます。
やっぱりヒカアキはラブラブしてるのが一番だから!(笑)
これからもオフではとんでもない話を書き続けるかと思いますが、懲りずにお付き合い下さると嬉しいですvv
ここまで読んで下さってありがとうございました〜(^▽^)/