●COLLEAGUES おまけ●





西条君との2回目のデートは舞浜に行った。

1月でも土日は相変わらず待ち時間が長いディズニーランド。

たくさんお話できる絶好のチャンスなので、私は気になってたことを聞いてみた。



「西条君は兄弟姉妹はいるの?」

「うん、兄貴が二人」

「え、そうなんだ?」

「一緒には住んでへんけどね。上は京都の大学行っててもう一人暮らししとうし、下は大阪の高校の寮に入ってる」

「へぇ…結構年が離れてるんだね」

「上とは7こかな?その兄貴が中学で囲碁部に入ったけん、俺も囲碁に興味持ち始めたんよな」

「そうだったんだ〜。その時西条君は幼稚園くらい?」

「そやね。5歳かな」


5歳の西条君……きっとすっごく可愛かったんだろうなぁvv

今度絶対アルバム見せてもらおう。



「西条君て院生だったの?」

「うん、小3から。院生になる前、力試しで大会出たんよな。上手いこと勝ち上がって棋院で行われる全国大会まで進んだんやけど…」

「うんうん」

「準決勝でアイツに当たってもてボロ負けしたわ」

「アイツ?」

「進藤」



進藤君に圧倒的差で敗れて、それが悔しくて院生になった後めちゃくちゃ必死に勉強したという西条君。

小5の時に見事プロ試験にも合格。

プロになってもう一度進藤君にリベンジしようと息巻いてたのに―――進藤君の姿はそこにはなかった。



「アイツあんだけの棋力持ってるくせに何のんびりしとんねん!って突っ込みたくなったわ」

「そうだよねぇ」

「ほんで親父が東京に転勤になる言うから、もう進藤と同じ中学受けてやったんよな」

「突っ込む為に?」

「ちゃうちゃう、打ってもらう為に。でもって同級生のヨシミでおこぼれ貰う為に」

「おこぼれ?」

「だってアイツの家遊びに行ったら、本因坊と名人がおるんやで?最強やろ」

「あ、そっか〜。そうだよね!それでそれで?そのおこぼれは貰えたの?」

「もち。本因坊とは3回くらい打ったわ。名人とは2回」

「すごーい!いいな〜」

「そやろ」


この冬休みには進藤君のおじいちゃんの家にも連れて行って貰ったらしい。

進藤君のおじいちゃんとはもちろん――塔矢行洋名誉名人のことだ。


「めちゃめちゃ緊張したけどな…」

「だ、だよねぇ…」

「でもええ勉強になったわ。進藤と放課後毎日打ってるうちに自分の棋力も断然上がった気がするし、アイツには感謝しかないわな」

「4月からは同じプロだね」

「そやね。進藤と公式戦で早く打ってみたいわ」

「きっと皆そう思ってるよね」

「まぁな」



冬のディズニーランドは陽が落ちるのが早い分、ロマンチックなイルミネーションを楽しめる時間が長い。

途中から私達はずっと手を繋いでた。

温かくて、心まで温かくなって、幸せを実感した。









最寄り駅にまで帰って来たのは21時くらい。

遙ちゃんとディズニーランド行ってくると嘘ついて出かけたから、今日は門限を守らなくてもいい。

でも家の前まで送ってもらうわけにはいかないので、途中まで。


「ほな、またな」

と軽く唇を合わせて今日のデートは終わり。


「うん…またね西条君。送ってくれてありがとう」

「おやすみ」

「うん、おやすみ…」



素敵なデートだったけど……少し寂しいと思ってしまうのは私だけ?

初デートの時のことをどうしても思い出してしまう。

今日も本当はちょっとだけ期待していた。

もう一度…してみたいと思ってしまう私って、何てエッチなんだろう。

はぁ…、と溜め息を吐きながら自分の部屋に戻って携帯を触ると、LINEが来ていた。

西条君から。

慌てて開ける。


『今日は楽しかったな。明日も会えたりする?俺んちで打たへん?』

「……」


もちろん会えるよ!と返そうとしたら、もう一文送られてくる。


『明日は親、一日留守なんよな』

と。


もちろん私の顔は一気に赤くなる。

嬉しい。

きっと西条君も同じ気持ちだったんだ。

今すぐ会いに行きたい気持ちを抑えて、私はOKの返事をした。











でもって翌日は朝の10時から家にお邪魔した。

もちろん約束通り一局打ち始めて、でも二人とも全然集中出来てなくて。


「これ…打ち続けても意味あるか?」

「ないかも……」

「やめてもええ?」

「うん……」


やめて何をするのか、なんて考えるまでもなく。

碁石を片付ける余裕もなく、私達はベッドに移動した。



「西条君……」

「金森さん……」



初デートの時と同じように、恥ずかしいことをいっぱいして。

でも前と違って全然痛くなくて、むしろちょっと気持ちよくて。

お互いが満足するまで絡み合った。









私にとっては今日も含めての2回目のデート。


これからも西条君とたくさんデートが出来たらいいなぁと思った――









―END―









以上、西条×奈央の2回目のデート話でした〜。
西条が囲碁を始めてから今までの流れを書いてみました。
囲碁大会に西条も出ていたみたいです。ちなみに決勝戦は海王の大桑部長とです。
大桑部長は佐為と打ったことでプロを諦めましたが、西条は逆に燃えたみたいです。
おこぼれもちゃんと貰えてたみたいですね、よかった。
そのうち佐為精菜カップルとWデートとかもしそうですよね♪

ちなみに奈央の家は結構な良家です。(アキラの実家みたいな家に住んでます)
でも兄弟は妹しかいません。
てことは奈央が跡を継がなくてはいけません。
三男坊の西条君は超好物件ですな!