CHRISTMAS 4●






「わ〜!広〜い!」



ようやく2時間のディナーが終わり、私たちはホテルの一室に移動した。

スカイラインを一望出来る、36階のタワースイートの部屋だった

横幅が2mはありそうなダブルベッドは、視界に入るだけでこれから起きることを想像して頬が赤くなる。


「彩ちゃん…」


後ろから抱き締めてくる彼の声は、もちろん熱を帯びてるけど、でもそこまでガツガツしてるわけではない。

それはもちろん、一昨日も彼の部屋で体を合わせたからだろう。


「ふふ…」

「なに…?」

「ううん、あの時と違うなぁって思って」

「あの時?」

「第5局のあと」


そう言うと、京田さんの頬もほんのり赤くなった。

4局が終わってから第5局が終わるまでの13日間、私達は一度も会わなかった。

こんなにも開いたのは付き合い始めてから初めてのことだった。


――限界なんだ――


と訴えてきた通り、私達は彼の部屋に帰るなりすぐさま体を合わせ始めた。

しかも寝室までのほんの数歩も待てなかったらしい京田さんに、扉が閉まったすぐの玄関で求められたのだった――

 

 

 

 

 



「――んん…、ん…」


激しく口内を貪られる。

体を倒された場所はヒンヤリと冷たく、硬い。

いつもより天井も高く遠くに見えて、なんだか非日常感があった。

キスしながらも私のブラウスのボタンを手早く外していく彼。

と同時に自分のスーツも脱いで、ネクタイを外し、ワイシャツのボタンを外していった。

こんな時にどうして二人ともが脱ぐのに時間がかかる服なんだろう

このちょっとの時間ロスがもどかしくて、でも余計に気分を盛り上げる。


「あ…、京田…さん」


余裕のない彼のこの性的な表情は、きっと私しか知らない。

恋人である私だけの特権だ。


「んん…、ぁ…っ、…ぁ…」


胸を舌で愛撫されながら、下半身を弄られほぐされていく。

淫乱な音が玄関中に響き渡って、外の廊下を通る隣人に聞こえてしまうんじゃないだろうかと羞恥心が煽られる。

いつの間にか手にしているゴム。

こんな時でも冷静にきちんと避妊してくてる彼に感心しながらも、一体どこに隠し持ってたんだろうと疑問が浮かぶ。


「――…あぁ…っ」

「は…、彩ちゃ…ん」


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日ぶりの彼のモノはもの凄く硬い。

そして余裕がない。

まるで童貞のように少し動いただけで呆気なく沈没していた。


「……っ、…ごめ…っ」

「……こんなに早い京田さん初めてだね」


男の人には禁句だったのかもしれない。

京田さんが恥ずかしそうに私から視線を背けた。


「…ごめん。ずっと我慢してたから」

「一人でしなかったの?」

「…うん」

「…そうなんだ」


体を起こした彼は、手を取って今度は寝室に私を連れて行く。

出して中途半端に立ち上がる彼のモノをチラッと見る。

ゴムの先には確かに我慢してたんであろう白くて濃そうな液体が溜まっていた。

ゴクリと喉を鳴らす。


「…ね、私が取ってあげようか」

「え…?」


京田さんをベッドに腰掛けさせて、私は丁寧にゆっくり、零れないようにその避妊具を取り外していった。

風船をくくる要領で先もくくって、ベッドの端に使用済みのそれを置いた。

そして――


「――…っ、彩…っ?!」


まだ彼本体にベットリと付いているその液体を、舐めて一滴残らずきれいに取り除いていった。

「……は…っ…」

最初は私の頭を押して拒否しようとしていた彼も、途中からはこのお掃除プレイに酔っているみたいだった。

段々と硬さを復活させてるのがその証拠だろう。

今にももう一回出来そうな硬さまで復活したところで、私は口を離した。


「ゴム、私が付けていい?」

「うん…」


従順だ。

サイドデスクのいつもの場所から一つ取って、私は装着しだした――もちろん口で。


「彩ちゃん…、どこでこんなこと覚えたんだよ?」

「うふふ…、マンガ」

「男性向け?」

BL

「……」


微妙な表情になった京田さんを、ベッドに押し倒す。

彼の上に跨って、上を向いたそれと自分の入口を合わせ、体重を落とすように一気に奥まで挿入した。


「――…ぁ……」

「は……」


まだ私はイッてないから、自ら腰を振ってまるで自慰のように好き勝手出し入れしてみる。

反対に京田さんは一度出して余裕があるからか、私のこの痴態をまるで目に焼き付けるかのように、私を見つめていた。


「――…ぁ…っ、もうダメかも…、イッちゃっていい…?」

「ダメだよ…、もっと見せて」

「無理無理…、もう…――」


ドクンと体が弓なって、頭が真っ白になって全身から力が抜ける。

彼の胸に抱きつきながら呼吸を落ち着かせていった。


「…はぁ…、は…気持ちい…」

「彩ちゃん…、すげ…可愛い」


京田さんが私のこめかみに、額に、チュッチュッとキスしてくる。

まだ私の中にしっかりと収まってる彼のモノ。

私がイッただけで彼はまだイッてないから、硬さも充分に保っていた。


「彩ちゃん…」

「ん……」


京田さんが体を起こし、私をベッドに横たわらせる。

首筋をキツく吸われ、痕を付けられる。

そのまま舌でなぞるように胸の先端まで舐めてきて…、ゾクリと体が震えた。

再び口に含まれ、乳首を執拗に愛撫される。

突き刺さったままの下半身がじわじわと熱く…、もどかしくなって勝手に腰が動いた。


「…ぁん、京田さん…、動いて…?」

「まだ駄目…」

「えー…」


胸を舌で嬲りながら、更にはクリまで弄って触ってくる彼。

あまりの気持ちよさともどかしさで脚が勝手にこれ以上ないぐらい開く。

どんどん溢れてくる愛液は彼のモノを更に奥に導いていった。


「奥にあたってるな…」

「も…、無理…、早く…」


動いて――と懇願すると、ようやく彼は私を突き出した。

ギシギシ鳴り響く伸縮性に優れたベッドは玄関の床より遥かにセックス向きで、背中への負担も少ない。

一度イッた後だけど、2回目を迎えるのにそう時間はかからなかった。

京田さんの表情が段々と険しくなる。

きっと私がイクまで出すのを我慢してるんだろう。


「…は……」


汗が流れる彼の表情は色っぽくてうっとりとなる。

ずっとこのまま繋がっていたい。

もちろん体だけじゃなくて。

ずっと彼の傍で寄り添って生きて行きたいと思った――


「――あ…、ぁ…っ」

「――…く…っ」


今度はほぼ同時に達した私達。

片方がイク表情を見るのももちろんそれはそれでいいんだけど、一緒にイけたほうが何倍も満足感を味わえる気がした。


「はぁ…、京田さん大好き…」

「俺も…」

「たまには間隔を開けるのも新鮮でいいねぇ…。ね、第6局が終わるまでまた会わないでおく?」

「気が狂いそうになるからやめて」


笑顔でそうハッキリ拒否した彼に、私は次局も頑張ってとエールを送ったのだった――

 

 

 

 

 



「挿れて1分も保たなかった京田さんも童貞っぽくてなかなか…vv」

「ソレあんまり言わないで…」


可愛くて思い出すだけでニヤけちゃう私に、京田さんは拗ねた表情を向けてくる。


「あれ?でも京田さん、私と初めてエッチした時普通に長く保ってたよね?童貞だったのに」

「そりゃまぁ……、事前準備してたから」

「あら、誰と?」


素で聞き返すと睨まれてしまった。

失言失言。

そっか〜あの時はすぐに出ちゃわないよう一回抜いてから私に会いに来てくれてたのかぁ〜とニマニマ納得する。


あの時から5年半。

ついにプロポーズしてくれた大事なフィアンセのご機嫌をこれ以上損ねないよう、私は彼の手を取って窓際に連れていった。

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階のこの窓からは大都会のまるで宝石のようなキラキラとした綺麗な夜景が望めた。

自分の左手薬指の宝石も広げてみた。


「綺麗…、ありがとう京田さん」

「いや…、待たせてごめん」

「いいの。結果オーライだから」


早く精菜に報告したい気持ちは山々だけど、今夜だけは携帯を触るのは我慢しようと思う。

家族にはいつ報告しよう。


「名人戦は残念だったね…」


結局24敗で幕を閉じた。

でも今までで一度も番勝負で勝ててなかった京田さんに取って、きっと実りのあるタイトル戦となったことだろう。


「またリーグから出直すよ」

「うん…、応援してる。今度からは一番近くで」

「うん――」


京田さんの顔が近付いて来てキスされる。

婚約してから、新しい関係になってから初めての口付けだ。



「メリー・クリスマス彩ちゃん」

「メリー・クリスマス京田さん」


今度からは一番近くで応援するからね。

婚約者として。


そして妻として――



 

 


END

 

 

 

 

以上、京田さん×彩のクリスマスプロポーズ話でした〜。
この後は朝までひたすらエッチする二人だと思われます!(もう書かんけど)

前半は彩がひたすらグルグルしてましたが、まぁ心配しなくても京田さんはちゃんと名人戦が終わったらプロポーズするつもりだったってことですね!
ちなみに彩が貰って来たクリスマスプランのホテルのチラシ、京田さんはスイートを選択したので20万くらいのプランですが、一番お手頃な部屋でも10万はするんですよ。
そんなお高いチラシをリビングに忘れていく彩はすごいアピールしてますね(笑)

さてさて、無事プロポーズに成功し、婚約した二人です。さ、次はヒカルの許可を取りに行かないとね★(おまけ話に続きます!)