●CHIAKI's ASPECT●
「すげ…、昔のアキラにそっくりだ」
私、進藤千明。12歳。この春、晴れて海王中学に入学することになりました。
今、届いたばかりの制服に袖を通してみたところなんだけど、お母さんにそっくりだとお父さんが絶賛してきた。
私のお母さん、進藤アキラ(旧姓:塔矢)も海王中出身で、当時は髪型も今の私と同じ、ショートボブだったんだって。
お母さんは私の憧れだから…ちょっと嬉しい。
「千明もついに中学生かぁ〜、早いよなぁ」
何だか感慨深げにお父さんが溜め息をついた。
横にいたお母さんと一瞬アイコンタクトをとった後、真面目な顔して私を見つめてくる。
……何?
「千明、オレらな…お前が中学に入ったら話そうと思ってたことがあるんだ」
「え…?なに?」
「お前の出生のこと…とか、何でオレが東京を出て…一人でお前を育てることにしたのか…とか。千明には知っておいてほしいんだ。いや、今まで迷惑かけた分、お前には知る権利があると思う」
「え…?話してくれるの…?」
二人が静かに頷いた。
「でも、これだけは分かってくれ。オレとアキラはずっと愛し合ってたんだ。お前は愛し合った上で出来た子なんだ。…例え当時は気付いてなかったとしても…」
……え?
「ちゃんと最初から話すな。オレが15の時、アキラに告白して…フラれたとこから」
「フラれた…?」
「ああ、フラれたんだ。きっぱりはっきりオレをそういう目で見れないってアキラにフラれた」
「……」
「だから…他の女の子と付き合ったこともあった。でも、ずっとアキラのことが忘れられなくて…好きで好きで仕方なくてさ。その想いを満たす為に…誕生日に『あるもの』をアキラから貰うことにしたんだ」
「僕が提案した」
「え…?なに?その『あるもの』って…」
「…『恋人』…」
二人が話してくれた過去。
あまりにも馬鹿げてて、もう笑うしかなかった。
本当に私って生まれてよかったんだろうかって…疑問も抱いた。
……でも、もう過ぎたこと。
今は結婚して、幸せな家庭を築けている二人。
過去を後悔するより、未来に向かって前に進みたいらしい。
だから…あえて私に全部話してくれたんだ。
「千明はいい恋愛してくれよな」って、伝える為に―――
お父さんがお母さんにフラれた15歳の時から、私が結婚して幸せを掴むまでの35年間の物語。
聞いてくれますか?
TIME LIMIT完全版始まるよー