●BOOK●
(―――え?)
いつも通り夏コミに連日参戦していた私。
2日目のその日、私は偶然通りかかって見つけてしまったのだ。
男性アイドルグループのメンバーのCPが並ぶ島で。
(ここここれは、ヤバくない?!)
自分の恋人×自分の兄が、CPにされているその本を…!!
「よかったらご覧になって下さいね〜」
私が凝視していると、売り子のお姉さん(推定30歳)から声をか
「これって……囲碁棋士の…」
「そうですそうです!私昔からこの二人のやりとりが大好きで〜つ
恐る恐る手に取って、パラッと捲る。
(はわわわわ………何これ何これ何これ)
「京田七段の前だと進藤名人って普段と別人じゃないですか?いつ
「そ、そうですかね…」
「京田七段も絶対満更じゃないと思うんですよね。普段研究会で二
「へ、へぇ…」
このお姉さんの妄想の中では、京田さんが攻めでお兄ちゃんは受け
ツンデレな兄とちょっと俺様系の入った京田さんが、進藤門下の研
「二人のダブル解説の大盤解説会なんて公開デートですよアレは。
「で、でも…、進藤名人の解説って倍率ヤバいですよね…」
「そうなんですよね〜だからいつも仲間内でめちゃくちゃ応募して
ねー?と売り子さんが隣のスペースの売り子さんとコンタクトを取
(え?!隣のサークルも京田七段×進藤名人なの?!)
よくよく見てみるとそのあたり一帯全部そうだった。
とりあえず私はあるだけの本を買いまくって、精菜んちに直行した
「精菜精菜!ヤバいの見つけちゃったー!!」
紙袋いっぱいのその本を彼女の部屋のテーブルに広げる。
「彩、何買ってるの?!」
とそれを見た瞬間精菜も仰天していた。
「だってだってだって…、見てよこの京田さん!めっちゃ攻め!私
ハアハア言い出す私に、
「でも佐為が受けって…」
と精菜は複雑そうだ。
「あ…、でもこの佐為ちょっといいかも…」
京田さんに言葉責めされてる兄の描写を見た精菜が、興味津々そう
「佐為、私が攻めるとこんな顔よくしてるのよね…」
精菜もハアハア言い出す。
しかもこの絵師、めちゃくちゃ絵が上手いのだ。
リアル過ぎる。
お兄ちゃんの美しさと京田さんのカッコよさを素晴らしいタッチで
「やだ彩!この小説、彩も出てるよ!」
「え?!」
もちろん薄い本だけじゃなく分厚い小説も買ってきた私。
そこには男同士だから決して実らない想いを昇華させる為に、好き
(ええー?!京田さん実はそうなの?!私は身代わりなのー?!)
「精菜、こっちもヤバいよ!」
「きゃー何でお父さんと?!」
私が買ったのはほとんどが京佐為(京田七段
緒方先生
芦原先生×お兄ちゃんとか。
西条さん×お兄ちゃんとか。
「やだ、佐為って総受け?!やらしい!!」
精菜がまたしてもハアハア言ってガン見していた。
でもってお兄ちゃん女体化本まであって、流石にこれは危機感を覚
(ヤバい…、お兄ちゃんが女だったら絶対京田さんを取られちゃう
その日の夜。
精菜んちから家に帰ると、ダイニングにお兄ちゃんと京田さんがい
(今日は門下の研究会で今は休憩中らしい)
「進藤君、今度の南洋杯、羽田集合だけど一緒に行かない?」
「あ、そうですね」
「車で行くつもりだから迎えに行くよ」
「いいんですか?ありがとうございます」
もちろんいつも通りの二人の会話なのだが…。
新しい世界を知ってしまった私には、二人がイチャイチャしてるよ
(京田さんたらお兄ちゃんを助手席に乗せて一体何する気?!)
リアル京佐為を目の当たりにしてハアハア呼吸が荒くなる私を、京
「彩ちゃん大丈夫…?」
と心配してくれたのは言うまでもない話――
―END―
以上、実は腐女子な彩と精菜のお話でした〜。京田七段×進藤名人(略して京佐為)は囲碁ジャンルで一番のメジャーカップリングらしいです。
まぁイケメンとイケメンをくっつけたがる腐女子はどこにでもいるからねー。
大盤解説会ではもちろん純粋に二人のファンもいますが、腐女子も多数紛れ込んでるらしいですよ(笑)
ちなみにこの夏コミの日現在、高3(18)の彩です。佐為は19歳、京田さんは23歳。
彩もメガネにマスクと変装して夏コミ参戦してます。だから売り子さんにバレてない。
京田さんももちろん既に運転免許を取っていて、車も持っています。
もちろん彩も助手席に乗りまくってますが、結構佐為も乗せてる京田さんなのでした!
でもって彩がイベントで買った京佐為(しかも佐為女体化)本はこちらから!!
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