●BEST FRIEND 2●
12月に入ると、街の飾り付けはクリスマス一色だった。
あの日から一ヶ月。
進藤は彼女にプロポーズしたのだろうか…。
「あ。やっと帰ってきたー」
「…え?」
出先から家に帰ると、玄関前で進藤が寒そうに立っていた。
「早く入れてくれーっ。寒くて凍え死にそう」
「いつからいたんだ。連絡くれれば早く帰ってきたのに」
「慌ててたから携帯忘れたんだよ」
なぜ慌てる必要があるんだ?
居間のヒーターとエアコンとコタツをまとめて点けてあげた。
あと温かいコーヒー。
ぬくぬくとそれを飲む進藤に、向かい合って僕もコタツに入った。
「そういえば……あれ、どうなった?」
「あれって?」
「指輪…というかプロポーズ。ちゃんと渡せた?OKもらえた?」
「へへ〜、それなんだけどさー」
ポケットからごそごそと小箱を取り出してきた。
「開けてみて」
「え?でもせっかく綺麗に包装してくれてるのに…」
僕が開けていいのか?
というか、まだ渡してなかったのか?
「いいから…開けて」
「………」
なるべく丁寧に、包装を解いた。
セミオーダーで完成した指輪。
本因坊の彼の一ヶ月分の給料に相当する大きなダイヤモンド。
羨ましいぐらいに綺麗だった。
「…オレがはめてもいい?」
「は…?」
僕の左手をとって、真っ赤な顔になって、緊張がこっちにも伝わるぐらいに一生懸命薬指にはめてくれた。
サイズは彼女と同じだから当然ぴったり。
まるで僕の為に用意されたかのように――
「進藤…あの」
「塔矢。いい加減…もう分かっただろ?」
「え…?」
「オレ…本当は彼女なんかいない。最初からオマエにプロポーズするつもりでこれ買ったんだ」
――…え?
「オマエに彼氏が出来て初めて自分の気持ちに気付いた。正直やばいと思った。今頃気付いても遅いじゃん…て。でも別れて、もう今しかないって思った。早くキープしとかないと…って」
「進藤…」
「オレ、言っただろ?付き合ってるの、美人で頭がよくて背が高くて綺麗で性格も可愛いオレには勿体ないぐらいの女…だって。全部オマエのことだよ」
「僕…そんなにすごい女性じゃない」
「オレにはそう見えるの」
指輪をはめてくれた左手の先に、進藤の唇が触れた。
優しい温かいキスに、胸が信じられないぐらいに高鳴る。
「塔矢…好きだ。結婚しよう?」
「……うん」
承諾した途端に肩を引き寄せられて――唇にキスされた。
「――…ん……」
前の彼氏とは違う、僕の感じ方が全く違うキス。
とろけそうなぐらい甘い啄み。
嬉しくて、気持ち良くて、心地よくて、今にも意識がどこかに行ってしまいそうだった――
「塔矢…幸せにするからな」
「もう幸せだよ…すごく」
指輪の裏に彫られてたのは『H to A』――進藤から僕に
そして『I LOVE YOU』――愛してる
―END―
以上、親友話でした〜。
かなり強行手段なヒカルですが、どうだったでしょうか(^ ^;)
いや、無理があるだろう。普通気づくだろう。
指輪の裏に愛してる〜とか恥ずかしながらも入れちゃうヒカルも可愛くていいと思いませんか?