●BABY INFORMATION●





逆算すると…僕が両親の結婚前に出来た子供だってことは考えるまでもない。

父が母のことを好きなのは一目瞭然。

でも母は…?

父に対する母の態度を見ていると……父を愛してるとはお世辞にも言いがたい。

きっと母は僕が出来たから…仕方なく父と結婚したんだろうな…。

じゃあ彩は?

愛してない男の子供をあの母が果たして二人も産むだろうか…。

ずっと謎だった。

不思議に思ってた。



でも今月の始め……僕は見てしまったんだ―。



母が父に

『妊娠したみたい』

って打ち明けた時の表情を―。

いつもの母と同じ人とは思えないほど穏やかで…嬉しそうな顔だった。


『マジ?!明日速攻病院行こうぜ!オレも一緒に行く!』

『うん…―』

父に抱き締められた母は本当に幸せそうだった。



母は…父が好きだったんだ――



そして翌日。

僕らの前で、父が正式に母の妊娠を発表した。


まだほんの一週間前の話だ――













「え?おばさん赤ちゃん出来たの?!」

「うん!」


さて、合宿2日目――土曜日。

祖父・祖母・僕・妹・精菜の5人で朝食をとりながら、いつものようにしゃべりたがり屋の妹が近況を話し始めた。

最近のトップニュースはもちろん『母の妊娠』だ。


「ヒカルさん、出来たら3人目が欲しいってずっと零してらしたけど、とうとうアキラさん折れたみたいね〜」

祖母が嬉しそうにホホホと笑った。

「楽しみだな」

祖父もご満悦みたいだ。


「3人目だけじゃないよ。4人目もだよ。双子なんだって」

「まぁ!それは初耳だわ!」

「佐為、本当?!」

慌てて精菜が隣りに座っていた僕に確認してきた。

「らしいよ。心音が二つあったんだってさ」

「すごーい。一卵性?」

「さぁ…そこまでは。まだ3ヶ月目に入ったばかりみたいだし」

「予定日はねー、来年の4月の始めなんだって」

「彩ちゃん、やっと念願の『お姉さん』になれるわね」

「うん!すっごく楽しみ!妹だったらいいのに〜」

「だから弟の方がいいって!」

「やだ!妹がいい!」

「絶対弟!」


この話題になると僕と彩はいつも対立する。

でもこればかりは絶対に譲れない。

だってもし女の子の双子だったとしたら、妹が3人になるわけだろ?

彩みたいなのが3人…。

地獄だ……―


「二卵性だったら、男の子と女の子の双子っていう可能性もあるわよ」

祖母のその台詞に僕と彩はハッと顔を見合わせた。

「それイイ!一石二鳥だね!お兄ちゃん!」

「うん。そうなることを祈っておくしかないな」

僕らのケンカを無くす為にも、ぜひ母には男女の双子を産んでもらおう。


「それはそうと、アキラさん今回は悪阻の方は大丈夫?」

「ダメ。お母さん吐きまくってる。だからお父さんがね、いつも以上にお母さんにベッタベタで、もう暑苦しいったらありゃしないの」

「あらあら〜」

「今回の京都のイベントもね、本当はお母さんだけの予定だったのに、お父さんが無理やり付いて行ったんだよ」

「まぁ…そうだったの。でも佐為さんや彩ちゃんが泊まりに来てくれるから嬉しいわ〜。もちろん精菜ちゃんもよ」

「ありがとうございます」

精菜が嬉しそうにニッコリ笑った。


「また精菜と泊まりに来てもいい?」

「ええ、もちろんよ。楽しみにしてるわ。ねぇ、あなた?」

「ああ」

「お兄ちゃんも一緒に来たい〜?」

彩が意味深な顔をしてこっちをチラッと見た。

途端に僕の顔も精菜の顔も少し赤くなる。

くそっ!

何だか彩に弱みを握られた気分だ。


でも精菜と一緒に寝泊まり出来るのはかなり……嬉しい。

自然と僕の頭が頷いたのは言うまでもなかった。


僕と精菜も、いつか父と母のようになれるといいな――













―END―












以上、題名のごとく赤ちゃん情報話でした〜。
えー…双子です!(笑)
好き勝手やりたい放題で申し訳ありません…。
しかももうこれで性別も分かりましたよね〜??(笑)
前のアンケートで性別はどっちがいい?と聞いた所、どっちでもいいがTOP、性別に投票してくださった方もほぼ男女半々でしたので……結果的には両方反映させよう!ということで(笑)
アキラさん!頑張って><

にしても娘に暑苦しいとまで言われるヒカルの態度は一体どんなのでしょうか?(笑)
もう一日中ベッタベタですかね?うわー…(=_=;)
たぶん今頃京都でもベタベタ〜(笑)