●ARRANGED MARRIAGE 4●
「この後どうする?」
「え?」
「帰る?それとも、もう一局打つ?」
「打ちます!もちろん!」
「そうこなくっちゃ♪」
オレって卑怯だ。
碁を餌に、アキラさんを予約してあったホテルに連れこんだ。
大人の男女が特別な日を過ごすのにピッタリのアーバンシティホテル。
高層階の夜景の綺麗な部屋だ。
もちろん碁も打つよ。
でも、一局だけ。
打ち終わったら――
<ヒカルのスケベ〜〜>
「うるせーなぁ、いいからお前は向こうに行ってろよ」
<はいはい>
佐為が壁をすり抜けて部屋から出て行った。
女の子と甘い時間を過ごす時はいつもそうしてもらっている。
やっぱ見られたくないし?
佐為も見たくないみたいだし。
「あの…」
「あ、出た?」
「はい…」
そうこうしている間にアキラさんがバスルームから出てきた。
緊張しているのか、何だかモジモジして落ち着かない様子。
もしかして初めてなのかな?
だとしたらすっげぇ嬉しいけど!
「浴衣…似合うね」
「そうですか…?」
「うん」
アキラさんのすぐ近くに移動した。
もうすぐにでも抱きしめられそうな距離。
いい匂いがする……アキラさんの香りだ。
「…進藤さんも入らないんですか…?」
「そのつもりだったけど…我慢出来なくなった」
「え?あ……」
抱きしめると、アキラさんの体はたちまち強張っていった。
顔…赤い。
すっげー可愛い。
「キス、してもいい…?」
「……はい」
オレがゆっくり顔を近付けていくと、それに合わせてアキラさんも徐々に目を閉じてくれた。
優しくそっと口づける……
「…ん……」
唇を合わせると、彼女の緊張がこっちにまで伝わってくるような気がした。
さっきからぎゅっと掴んでるオレのシャツ。
その手は少し震えていた。
「…は…ぁ…」
本当はもっと濃厚なキスがしたかったけど、とりあえず今はただ触れるだけで終了。
唇を離すと、恥ずかしいのか下を向いてしまった。
ほんっと…可愛いよなぁ。
こんなに容姿がいいのに、こんなに純情な女の子は今時レアな気がする。
「…ベッドに上がろっか」
「………」
声には出してくれなかったけど、コクンと頷いてくれた。
ベッドの中央に移動して、オレらは再び見つめ合った。
彼女の右手を持ち上げて…指にキスをする――
「…アキラって、呼んでもいい?」
「…はい」
「これからずっとそう呼んでもいい?」
「…はい」
承諾してくたアキラの唇に、もう一度チュッとキスをして――続けて頬に、首に、唇を移動させていった。
と同時に浴衣の紐に手をかけて…解いていく。
「…ぁ……」
体を倒すと、彼女の綺麗な髪が四方八方に乱れて…すっげぇそそられる。
今すぐがっつきたい気持ちを何とか抑えて、上から甘いキスの雨を降らせた――
「――あ…っ!」
胸に触れると、アキラの口からとめどなく声が出てきた。
「ひゃ…っ、ん…ん……ぁ…っ―」
乳首が大きく固くなってきた。
軽く指で刺激を与え続けた後、口でも虐めていく。
「や…っ、あ…ん…っ…は…ぁ……」
「気持ちいい…?」
「ん…分かん…ない。今まで感じたことのない…感覚で…」
「男と付き合ったことなかったんだ?」
「…碁…ばっかりの生活だったから…」
プロになったのが13の時。
それからずっと囲碁漬けの毎日だったと、彼女はオレに教えてくれた。
いや、プロになる前から、碁を覚えた時からずっとそうらしい。
恋愛なんかする余裕はなかった。
少しでも強くなりたかった、精進したかった――と。
何か…聞いてて悲しくなってきた。
恋愛の一つもしたことがないのに…いきなり結婚だなんてさ。
「…じゃ、オレと恋愛しようか」
「え?」
「オレのこと、好きになってくれていいよ?オレもアキラのことが好きだ」
実は一目惚れなんだ♪――そう耳元で囁くと…彼女の頬はほんのり赤くなった。
「が、頑張ります…。進藤さんはすごく魅力的だから…興味あるし」
魅力的なのは、オレの棋力だろ?
興味あるのは、佐為の碁だろ?
ズキズキと良心を少し痛めながら、オレは再び彼女の体を触り出した――
CONTINUE!