●APRIL FOOL 2●
つい先日―――オレは恋人と別れた。
原因はオレ。
別れを切り出したのもオレ。
心の中ではずっと昔から一人の女に決めてるのに、口に出せなくて告る勇気もなくて、今まで他の女で適当に満足してた。
でも、もう限界な気がした。
アイツをオレだけのものにしたい。
付き合いたい。
抱きたい。
オフだった今日、朝からどうその気持ちを伝えようか考え悩んでいた。
そんな時―――塔矢からメールが届いた。
『好き
』
「………」
………ああ!
今日ってエイプリルフールだっけ。
やっべ、一瞬本気かと思った。
信じちゃ駄目だって!
……でも、チャンスかもしれない。
このまま嘘の日に便乗してオレの気持ちを口で伝えて、体でも伝えれたら……
「塔矢ーー!!」
彼女の家に着いた後、直ぐさま抱きしめてキスをした。
初めてだったのかショックを受けてるご様子。
エイプリルフールだからって?
メールの内容は全部嘘?
はは、今更遅いって。
オレの都合の悪いことはこのまま全部嘘にするからな。
バチンッ
「…ってー…なにすんだよ!」
日付が変わった途端に叩かれた。
「ひどいよ…初めてだったのに…」
「よく言うぜ。気持ち良過ぎて善がってたくせに」
また叩かれた。
「ったく、そんなに嫌なら最初からこんな嘘つくなよなっ」
「キミが悪ノリしすぎなんだ!」
フン!とお互い背を向けた。
あああ…オレってダメだ。
シンデレラと同じだ。
さっきまでのラブラブな魔法は12時を過ぎるとあっという間にいつものオレらに戻っちまう。
辛口が止まらない。
「進藤…帰らないのか?」
「うわ。終電終わっちまったのに追い出すんだ。ひでぇ女」
「ああ…そうか。じゃあキミの分の布団、客間にひくよ」
げ。
「い、今更いらねぇよ。このままオマエと寝るし」
「え?」
再び布団に横になって―――塔矢の腕を引っ張った。
オレの上に倒れたコイツをぎゅっと抱きしめる――
「進藤…?」
「塔矢…、オレのこと嫌い?」
「嫌いも何も…キミにはちゃんと彼女がいるじゃないか」
「んなもんとっくに別れた」
「………」
肩を摩って…背中や尻を撫でても何も言わない。
再び勃起してきた下半身を塔矢の入口付近に押し付けた。
「……や…進藤…」
「…な、もう一回挿れてもいい?」
「え…?」
「まだ足りない…」
「………」
「全然足りない…。オレ…オマエと毎日でもしたい」
「…は?」
「いや、別に毎日しなくてもいいや。取りあえず一緒に寝たい」
「意味が分からないんだけど…」
困惑してる塔矢の頬にキスをして―――再び彼女を下にした。
有無を言わさず少し挿れた後に付けてないことを思い出したけど、気付かない振り。
別に出来ても……いいし。
「…オマエ、結婚とかそろそろ考えてねぇの?」
「ん……お見合いはいくつか…きてるけど…」
「オレにしちゃえば?」
「え…?」
「オレと結婚しねぇ?って言ってんの」
「それって……僕を好きってこと?」
「うん」
「もうエイプリルフールは終わったよ?」
「うん……だから本当。本気。マジ」
「………」
途端に恥ずかしそうに顔を背けてきた。
追いかけて、髪や頬にキスをして―――耳元で囁いた。
「好きだ…塔矢」
「進藤…」
「返事は?」
「えっ…と」
「オレのこと嫌い?」
「嫌いな人とこんなこと…しない」
「じゃあ好きってことだよな?」
「そうなるのかな…。突然過ぎてよく分からないけど…」
「オレにとっては全然突然じゃねぇけどな」
「え?」
「なんでもなーい」
上から抱きしめて、繋がってる場所を更に深く埋めた。
嬉しいな。
取りあえずこれで一応塔矢はオレのものだ。
明日は絶対晴れてほしい。
外で恋人同士のデートをしてみたいな―――
―END―
以上、エイプリルフール話でした〜★
アキラ嬢から嘘をしかけるなんて普通ありえないと思います、はい。
しかけて返り討ちにされていつの間にかヒカルのいいようにされてるアキラさん。
流されるアキラさんって…イイ(笑)