●MEN AND WOMEN●






―――男と女って意味が分からない―――




彼より先に目が覚めた僕は、布団を頭から被り…真っ青になって、今の状況を整理しつつ…酷く後悔していた。



……どうして進藤なんかと……



二十歳を過ぎた僕らにはお互い当然のように彼氏彼女がいる。

僕の相手は後援会が主催したパーティーで初めて出会った人。

付き合ってもう半年になる。

先日その彼からプロポーズされて…承諾して……それを進藤にも一応伝えた。

昨日。

そして今、目が覚めると―――このザマだ。



……男と女って一体……




「…はよ」

隣で眠っていたはずの進藤が、僕の布団を少しめくって挨拶してきた。

当然のように僕は彼を睨みつける。

「何が『おはよ』だ!能天気な!キミは昨日僕に何をしたと思ってるんだ!」

「オマエさ…」

進藤が気まずそうにも嬉しそうにも見える顔をして続けてきた。

「オマエ……初めて…だったんだな」

途端に僕の顔はカッと赤く染まる。

「け、結婚前なんだから当然だっ」

「彼氏からは誘われたことなかったのか?半年ぐらい付き合ってたんだろ?」

「こ…断ったんだよっ。結婚してからじゃないと嫌だ…って」

「…オレとは即行したくせに?」

「あっ、あれはっ…キミが強引に…――」



でも…嫌じゃなかった。

だから大人しく彼に従った。

一体何をしてるんだろう僕は…。


男と女って…男と女って…――




「初めてだったのにすげぇ感じてたよな…」

「し、知らないよそんなのっ!」

「オレもあんなに夢中になったの久々かも…。体の相性はいいのかもな、オレら」

「もう黙ってくれ!昨日の僕はどうかしてたんだっ!」

「忘れたい?」

「当たり前だろう!!」

「婚約者にバレたら破局だもんな」

「キミだって彼女にバレたら…っ」

「はは」

進藤が少し鼻で笑って――続けて物欲しそうに…指を僕の髪に絡めてくる。

「…な、またしようぜ?」

「は?」

「拒否ったら婚約者にバラすからな」

「…僕を脅迫する気か?」

「べっつに〜?ただちょっとオマエの体が気に入っただけ」

「………」


ヘラヘラ笑いながらとんでもないことを言ってくる進藤に抱き寄せられ……僕は彼の腕の中で究極の選択に迫られた。

…いや、究極ではないのかもしれない。

だって…答えは考えるまでもないから…。

僕って…何て最低な女なんだろう…――



「明日は棋院の指導碁だけなんだろ?終わったら―――」

「………」


婚約者にバレたら終わりだってことぐらい分かってる。

それでも僕の頭の中で何度も繰り返されてる昨夜のあの甘い映像が……僕を禁断の道へと導いていく――



「……いいよ」



婚約者がいるのに……

キミだって彼女がいるくせに……







―――男と女って意味が分からない―――










―END―











以上、『お互い他に好きな人がいるヒカアキラ子』でした〜。
というお題で猫森に参加させていただいたんです♪
男と女って意味が分からない、じゃなくて、ヒカルとアキラが意味不明、のような話。
あんたら意味分かんねーよ…と突っ込んでやってください。
どうやら最近浮気だとか不倫だとかの話に萌えてるみたいです(笑)