●AKIRA 4●





「塔矢に合うのは絶対清楚系だって。デパートから攻めてみようぜ」

「う…ん」


塔矢と付き合い始めた翌日―――もう少し服を勉強したいという彼女を実際に買い物に連れ出してみた。

塔矢はほとんど自分で服を買ったことがないらしく、デパートではちょっと挙動不審。

色々進めてくる店員にパニックになっていた。

ちょっと可愛い……を通り越して、面白い。


「お客様は肌は白いですし顔は小さいですし足は長いですし、正直言ってどれもお似合いだと思いますわ」

「そうそう、元がいいからどんな服でも似合うんだって。だからオマエの好みで選べばいいから」

「え……と」


悩んだ末に結局塔矢が選んだのはいつもの地味〜な色。

それじゃあ何も変わらないだろ…とさすがに却下して、もうオレが好き勝手選んでやった。

で、最後に選んだワンピースをそのまま着ていってもらって、それに似合うコートとブーツと鞄を買ってやって、いざデートへGO!

…と言いたいところだが、既に疲れたらしく休憩がてらカフェへ。

でも、塔矢と外でお茶なんて初めてでちょっと嬉しい。



「可愛いよ」

「…ありがとう。少し…自信が出てきた」

「打ってる時は常に自信満々なくせにな〜」

「うん…あれぐらい服装にも自信が持てたらいいんだけど…。…あ。ありがとう…いっぱい買ってくれて」

「いいって、お礼は体で返してもらうから」

「え?」


一瞬ポカンとした塔矢だけど、意味が分かった途端真っ赤になって、それ以降言動が変だった。

別に今日じゃなくてもよかったんだけど……せっかくこんなに緊張してくれてるんだから、やっぱり今夜いただいちゃうことにしよう。

夕飯の後、夜景が綺麗なホテルに塔矢を引っ張っていった―――





「綺麗だろ?このホテルのシティビュー側、オレのお気に入りなんだ」

「そう…なんだ」


真っ赤になって下を向いてる彼女を――後ろからそっと抱きしめた。

景色見ないなら、もう始めちゃうもんね。

うなじに唇を落としてみた――


「進…藤…」

「…いい?」

「……うん」


頷いてくれた塔矢を、すぐさまベッドの中央にまで招いて…キスしながら服を脱がせていった。


「好きだよ…アキラ」

と耳元で初めて名前で呼んでみたり。

「進藤…今」

「ん?嫌だった?」

「ううん……嬉しい」

「じゃあ…これからずっとアキラって呼んでもいい?」

「うん…。二人きりの時なら…いいよ」

「棋院では?」

「絶対にダメ!」

「ハハ」



一つになりながら…オレは何度も何度も『アキラ』と繰り返し呼んだ。

やっと名前と体が一致して、しっくり来る感じがした。

やっぱりオレの中での『あきら』は塔矢アキラなんだ。


いつか、進藤アキラになってくれないかな……なーんてね。











―END―












以上、ライバルは同性同名話でした〜。
あきらあきらあきら…と連呼されて、怒るアキラさんが書きたかったのです(笑)
アキラも自分のことを呼んでくれてるのなら全然構わないんだけどね。他の女だからキレちゃうのよね。
でもこれからはヒカルに嫌ってほど呼んでもらって下さいな♪