●FEMALE+γ 2●


「塔矢さん、赤ちゃん見てもいい?」

「どうぞ」

ニッコリと笑ってOKすると、彼女は嬉しそうにベビーベッドに近付いていった。


「わっ、可愛〜!見て、清春君」

「どれどれ〜?」

社も続いて近付いていった。


「んー…今度は進藤似か?」

「だと思う?!」

ヒカルが目を輝かせ、嬉しそうに声をあげた。


「名前は何て言うん?」

「『彩』だぜ。彩るって漢字」

「へー、彩ちゃんか〜。お前らの娘ならめっちゃ可愛くなるんやろうな〜」

「当然だろ」

「でもいつかはどっかの男に取られてしまうんやな〜。残念残念」

「……」

意地悪気味に言った社の顔を、ヒカルがムッとしたように睨んだ―。


「…いいんだよ。彩が幸せになれるならそれで」

「おー成長したな、お前」

「だろ〜?」

でもヒカルはあまり穏やかではない表情を彩に向けた。

早からそんな先のことを心配してどうするんだ…?



「ほな進藤、一緒にベビーカーとか買いに行こか。約束やもんな」

「おう!悪いな社」

「ホンマにすごいわお前…。実は未来から来たんちゃうやろな?」

「んなわけねーじゃん」

社が彼女の方を振り返った。

「お前はどうする?」

「ここで待ってる。塔矢さんに聞きたいこともあるし…」

「じゃあちょっと行ってくるな〜」

そう言うと二人は意気揚々と買い物に出かけてしまった―。




「…何?聞きたいことって」

「あの…清春君から塔矢さんは17で結婚したって聞いたんだけど…」

「うん、佐為を産んだのも17だったよ」

「すごいね…。私には絶対無理。清春君は好きやけど…結婚とかはまだ全然考えれんし。卒業しても何年かは働いてみたいし…」

「それでいいと思うよ。人それぞれだしね…。僕だって妊娠しなかったらまだ結婚してなかったと思うし」

「あ、やっぱり出来ちゃった結婚なんや?」

「うん…そうなるかな」

「…進藤君、すぐ結婚に踏み切ってくれた?おろしてくれとか、考えさせてとか…逃げようとせんかった?」

彼女の言葉を聞いて、少し笑ってしまった―。


そうなんだよね…。

普通は17だとそういう展開になるよね…。


「進藤はもっと最悪だったかな。…最初から僕を妊娠さすつもりで抱いてきたから」

「え?!」

「だから妊娠した時…驚いたのはむしろ僕で、進藤は喜んでたな」

「…すごいな進藤君」

彼女が感嘆の溜め息をついた。

確かにある意味最強だよ、キミは本当に…。


「…まぁ今となっては時効の話だけどね」

そしてその話をヒカルに持ち掛けたのは社だということは……黙っててあげよう。


「塔矢さんてすごい大人やね…。同い年とは思えん…」

「そう?見た目だけだよ」

「でも…すごいと思う。この歳で二人も産んでるし…、清春君の話ではもう立派に母親してるって言うてたし」

「まぁ…その面ではね。でも子供を産んだら誰でもそうなるよ」

「痛くない?産むの…」

「痛いよ。二人目はすんなり出てくれたからまだマシだったけど…」

彼女の顔が少し引きつった。


「…でも、僕が思うに…その痛みを乗り越えてるから母親って強いんだと思う。子供にも更に愛着が持てるしね…」

「……」

「でもやっぱり好きな人の子供を産めるっていうのが一番嬉しいかな。そう思うと出産もいいものだよ」

彼女が僕の両手を握り締めてきた―。


「…やっぱり塔矢さんてすごいっ!ファンになっちゃいそうっ!」

「あ…ありがとう…」

「今の、将来の参考にさせてもらうね!」

「ど…どうぞ?」

「何だか塔矢さんの話聞いてたら、結婚も出産もよく思えてきた!」

「そう…」

「…て言っても私はあと5年はしそうにないけど」

エヘヘと笑ってきた彼女の顔はすごく可愛く見えた―。


ふーん…。

こんな子が社の彼女なんだ。

たぶん…この子と社は上手くいきそうな気がする。

僕らみたいに、ね―。


ヒカルもそう思わない?













―END―













以上、2人目出産直後の話でした〜。
相変わらず社を出すのが大好きです(笑)
そして今回は社の彼女も参戦。
あえて名前は出しませんでしたけど…。(単に考えるのが面倒だったとも言う)
名前と言えば『彩』!!
もちろん例の画集から頂きました〜。
画集と言えば5月の下旬に2冊目が出ましたが…例え3人目が産まれたとしても、今度は画集から取るのはやめようと思います(笑)
白か黒になっちゃいますから…。犬か…?(あ、でも犬を飼うのもいいかもしれない 笑)
でもまぁそれは先の話。
しばらくは4人家族で頑張ってもらいましょう!
では次は退院後。
アキラの本因坊戦がついにスタートです!!








2nd FEMALE+γ