●3rd FEMALE+β 9●


「いや〜、でもホンマあの時はびっくりしたわ。お前いきなり『実践してくる』やもんな」

「うるせーなぁ。オレは思いついたらすぐ行動するタイプなんだよ」

「ハハ。ほんま強者やわ、お前。結局18まで待たんかったしな」

「つーかさ、何で男も16で結婚出来ねぇわけ?そしたらあの時すぐにでも作ったのに―」

「男は女より成長が遅いけんなぁ。それにどんなに男女平等言うても、たいていは男の方が家族養っていかなあかんやん?16じゃ普通まだそんだけの力ないやろ」

「ふーん…なるほどな」


そういえば他の国は男女共に18歳以上って国が多いって聞いたな。

スヨンの韓国もそうだって言ってたっけ。

でもそうだよな。

オレだってあの時は一応社会には出てたものの…たいした収入はなかったし、アキラや佐為を養っていくのは無理だったかも―。

アキラに養われるのは夫として屈辱的だし…。

今でさえまだ年収敵わねぇのに―。

これで良かったんだよな。



「…社の彼女ってどんな奴?もう働いてんの?」

「いや、大学生。高校ん時の同級生でな、結構ずっと俺のこと応援してくれてたんや。嬉しかったわぁ」

「へー。でも学生とは時間合わなくね?オレらって休日仕事の時多いし…」

「そうなんや。だから会うんはいつも仕事終わってからか、元々会うつもりで休み取った時だけなんよな」

最近ロクにデートもしてへん、と社が大きな溜め息をついた。

「俺も早く結婚したいわ。そしたら毎日でも会えるやん」

「したらいいじゃん。最高だぜ?アキラを独り占め出来るし、手料理は食えるし、碁も打ち放題だし―」

「簡単に言うなや。まだ19なんやで?最低でも成人して、彼女が大学卒業するまでは無理やわ」

「いいじゃん19でも。オレらは18でしたぜ?アキラは17だったけど―」

「お前らは異常なんや」

社がまた溜め息をついて天井を見上げ、遠い目をした―。


異常って失礼な奴だなっ!

確かに世間一般から見たら早いかもしれないけど、愛があればなんとかなるもんなんじゃねぇのか?

オレらは…ちょっとオレが一方的だったけど―。

でも今は同等な気がする。

オレはアキラからも愛されてる気がする。


「あ〜、アキラに会いたい〜…」

「会ってくれば?隣りにいるんやし」

「無理〜。アイツ一度寝たら起きないもん。佐為が泣かない限り〜。オレの声には反応しないし…」

「なんやそれ。お前ほんまに愛されてとんか?」

「されてるよ〜。さっきも抱き付かれたもん」

「へー」

「オレの子供身ごもってたら、オレといつも一緒みたいで寂しくないって言ってくれたし」

「ほー」

「チューもしちゃったしな」

「けっ、良かったなっ」

「へへ、いいだろ。アキラとオレは万年ラブラブなんだぜ。付き合ってた期間が短かった分、結婚してからますますな―」

「どうせ俺の方はもう3年近く付きおうてて、新鮮味にかけるわっ!」

「だから結婚すればいいのに〜」

「無理言うなっ!」


その後もオレはアキラに対する愛を語りながら、惚気話もしつつ自慢話もして、社を耳タコにさせた。

だって和谷達じゃもう真面目に聞いてくれねーし。

社っていい奴だよな。

また泊まりに来てもいいぜ♪










「おはよう社、ヒカル」

「おはよ〜さん」

「はよー…」


――翌日

オレら二人があまりにも眠そうに欠伸をしていたので、塔矢は眉を傾けた。


「ちゃんと寝なかったのか?今日は二人共手合いだろう?」

「ほなって、進藤がアキラアキラってウルサいんやもん」

「え?」

アキラがオレの方をギロっと睨んだ。

「まさか僕の悪口言ってたんじゃないだろうな?」

「んなわけねーじゃんっ。奥さんに対する愛を語ってたの」

「は?」

アキラが少し顔を赤めた。

可愛い…。

「大好きだぜ、アキラ」

頬にキスをすると、アキラが顔を真っ赤にして怒り出した。

「人前で何をするんだキミはっ!!」

「佐為も〜」

「ん?いいぞ。佐為も愛してるからな〜」

アキラにするのを見て佐為も強請ってきたので、続けて佐為の頬にもキスをした―。

その様子を見た社が呆然となったのは言うまでもない。

「あかん…。なんや外国の家庭におるみたいやわ…」











「ただいま〜」

「お帰り」

手合いが終わって家に戻ると、先に終わったはずの社の姿はなかった。


「社帰ったのか?」

「うん。夕方荷物取りに来てね、進藤によろしくって。今日中に向こうに帰って早く彼女に会ってくるとか何とか言ってたよ」

「はは、よっぽどオレらが羨ましかったのかな。社もさっさと結婚すればいいのに」

「普通僕らの年代だとまだ結婚は重荷だからね。そう簡単にはいかないよ」

「そうかなぁ…オレは最高だと思うんだけど―。好きな奴と一緒にいれるんだし…」

チラッとアキラの方を見ると、笑われてしまった。

「誰もがキミみたいに楽天家だったらいいのにね。一緒にいるだけなら同棲でもいいわけだろ?だけど結婚は本人達だけの問題じゃないし、式を挙げるにも新生活を始めるにも子供を生み育てるにも、全てそれなりのお金がかかる。そう簡単にすぐ出来るものじゃないんだ」

「オレらは出来たじゃん…」

「そうだね。僕らには理解のある両親がいたし、生活が成り立つだけの収入もあったから。僕らは恵まれてるんだ…、子供にもね―」

「うん、そうだよな。二人も授かっちゃったし♪」

アキラのお腹を撫でてみた。


「もうすぐだな…」

「うん…。楽しみだね―」

「ああ」



――待ちわびたオレらの第2子はそれから40日後


予想通りの日に、元気に誕生することとなった――












―END―















以上、ヒカアキ夫婦物語・2人目妊娠中の話でしたー。
後半少し過去に振り返りましたが…いかがでしたでしょうか?
ヒカルの計画はアキラにとって迷惑極まりないばかりですが、今となってはいい(?)思い出話ってことですかねー。
にしても改めて書いてみても、ヒカルは飛ばしすぎですな。アキラを殺す気か。
そしてしない時(妊娠中)とする時の差が激しすぎです…。

さて、ラストでようやく産まれまして、またアキラの体は身軽に戻ったわけですので、今後のヒカルの行動にご注目(笑)
営みが再開されるのは一体いつなのか?!
…というあたりを次の+γで書いてみたいと思います。
すんなり再開するのは面白くないよね〜(笑)
はい!ではどうぞ〜。








FEMALE+γ