●2nd FEMALE + 10●


ひと浴びして部屋に戻ると、アキラは既に佐為を寝かし終わっていて、窓側のイスに座っていた。


「なに飲んでんの…?」

「ビール…。向こうじゃ飲めなかったし―」

キミの分もあるよ、と手渡してくれた。

「サンキュー…」

アキラに向かい合って、オレもイスに座った。


「綺麗な半月だよ」

「本当だな…」

少し空を見て、すぐに視線をアキラに戻した。

アキラは月に釘付なまま…ビールを少しずつ飲んでいる。


「…去年の今頃は、まだ付き合い出したばかりだったね…」

「そうだな…」

「あの時は…こうなるとは思ってもなかった」

「……ごめん」

アキラがオレの方を見て、悲しそうに微笑んだ。

「謝らないで…。僕も浮かれてたんだと思う…初めての彼氏だったし―」

「…オレもそうだよ。告ったのも…付き合ったのも、…キスしたのも…抱いたのも…、皆…オマエが初めてだった―」

「同じだね…」

今度は優しくオレを見つめてきた―。


「――ヒカルは…早く女の子欲しい…?」

「え…?」

「産んでもいいよ…?」

「……」

「もっとも必ず女の子が産まれるとは限らないけどね…」

はは…っと微かに笑った。

「……オレは―」

「うん?」


確かにさっきは女の子が欲しいって言ったけど…


だけど…


本当は―


「オレは……オマエが欲しい―」

「え…?」

「子供は二の次でいい…。それよりもっと…オマエを―」

「……」

アキラの顔が徐々に赤くなっていく―。

「…でも、それがオマエの負担になるなら……我慢するよ。またオマエに…フラれたくねぇし―」

頑張って作り笑顔でそう言うと、アキラの顔から笑みが消えた。

「あの時のこと…根に持ってる…?」

「え?根には持ってねーよっ!……ただ―」

「ただ…?」

「…トラウマにはなってる…。求めすぎたら…またフラれるかもって―」

「……」


…正直言って連日ですることほど怖いものはない。

今は大人しく腕の中にいてくれても、次の朝…起きたら態度が豹変するかもしれないって―。


「…オマエはさ、…どれくらいの頻度なら許してくれる…?」

「……」

「今もまだ多い…?もっと減らした方がいい…?」

「……キミは?」

「え?」

「キミは…、その…、どれくらい…したいんだ?」

「えっと……そりゃあ―、オマエにフラれるぐらい」

ははは…と苦笑いすると、アキラも困ったように少し笑った。

「…いいよ」

「え?」

「好きなだけ抱いてくれても…」

優しくそう言われて、オレは大きく目を見開いた。

「マジ…?」

「うん―」

「別れるって言わない…?」

「言わない―」

「本気で言ってんのか…?」

「うん―」

「……」

イスから立ち上がって、すぐさまアキラに近付いた。

手を取って…その指に優しくキスをする―。


「じゃあもう…容赦しないぜ?」

「いいよ―」

そう言ってきた唇をすぐさまキツく奪った―。

「―…んっ…」

舌を絡めながら…息も出来ないぐらい深く貪って―。

「んっ…ん―」

目を少し開けると、涙目のアキラの顔があった。


こいつ…何考えてんだろ…。

あんなこと言われたら…オレ、マジで歯止め利かなくなるぜ…?

分かってんのかな―。


「―…はぁ…、は…ぁ―」

唇を離すと…荒い息がお互いの頬に触れた―。


オレ…試されてんのかな?

ストッパーを外されたオレが…一体どのくらい自分の体を気遣ってくれるのかって―。

そうだな…ちゃんと気遣うよ…。

大事な…オレのたった一人の奥さんだもん…。



――でも


今日は無理だ――



アキラの腕を引っ張って、布団まで移動し――乱暴に押しつけた―。

「ヒカ…―」

体にのし掛かって、再びキスで唇を塞いだ―。

「―んっ…――」

同時に帯を解いて、直に体に触れ…手を這わしていく―。

「…ぁ…―」

唇を口からゆっくり首までずらし、首筋に吸い付いた。

「…ん…っ―」

優しく徐々に体を貪っていきながら、アキラの動きや――声や――表情に――我を忘れるぐらい夢中になる―。

すげぇ可愛い…―。

抱く度に思うけど、いくら抱いても抱き足らない―。

もっと、もっと…こいつを気持ちよくさせてやりたい―。

オレの腕の中で感じて…悦んでる姿を見たい―。


「好きだ…アキラ…―」


オレのことを忘れれなくなるぐらい―。

オマエをオレの色で染めたいんだ―。





「…ぁ……」

我慢の限界が近付き、そろそろ挿れようと、仕上げにかかる―。

…だけど、いつも通り付けようと鞄から取り出そうとした所で――アキラが声を上げた。

「待って…!」

「え?」

腕をそっと捕まれた―。

「付けないで…」

「え…、なに言って―。そんなことしたらオマエ…」

「だってキミ…、欲しいんだろ…?」

「……オマエは別に子供を産むための道具じゃねぇよ―」

少しニラんで見下ろすと、優しく頬に手を伸ばしてきた―。

「いいんだ…。すぐ出来るとは限らないし…出来るだけ機会は無駄にしたくない―」

「アキラ…」

微笑まれながらそう言われると――何も言えなくなる―。

ゆっくり顔を近付けて…口付けてきた―。

「…ちゃんと、中に出してね…?」

唇を離して…ぎゅっと首の後ろに手を回して…そう耳元で囁かれた―。

「…あぁ―」

かろうじて返事をし、すぐに中に分け入った。

「…やっ…、…あ…っん―」

「…アキ…ラっ…―」



ありがとう…。


大好きだ―。








「じゃあ、もう行くな」

「うん、頑張って」

「オマエも気をつけて帰れよ」


イベントも無事終了。

優しくアキラと佐為の頬にキスして、オレ達は羽田で別れた。

オレがセキュリティ・ゲートを抜けるまで、アキラ達は笑顔で見送ってくれていた。

オレって幸せ者だよな…。



目的地は札幌・T日航ホテル。

名人戦七番勝負の第一戦、相手は緒方十段だ。

相手にとって不足はない。



――だけど、今のオレは不思議と負ける気がしない。



頑張るよオレ…。


アキラと佐為の為、家族の為に―。










―END―










以上、ヒカアキ夫婦物語でしたー。
いや〜〜〜…、何と言うか…。ねぇ…?
何ともコメントしがたい内容です。
暴走しまくってます(笑)
え…えへへ(笑って誤魔化す)

前半はほぼ胸話でした。
子供を産んだら胸が大きくなる!という所に焦点をあてました。
それにドキドキするヒカル君。
でも旦那側にとっては一番気になることですよね〜。
書いててかなりヒカルが変態に思えましたが…普通ですよね?!そんなもんですよね?!
でも後日アキラは採乳器を購入するかと思われます(笑)

後半は温泉話でした。
どの温泉にしようかな〜、と悩んだんですが、
九州と漠然には決めていたので、結局は別府にしました。
ここは私も2、3回行ったことがあります。いい所〜(*^-^*)
次は黒川温泉とか、湯布院とかいいなぁ…。行きたいなぁ…。

脇役(?)について。
和谷がかなり悪友でゴメンなさい…。本当はいい奴なのに><
社はヒカルのお兄さん的存在で〜。
でも相談に乗ってるようでヒカルとアキラのいざこざを面白がってるかと。
たまに変なことをヒカルに吹き込むので困りものです。
にしても社は出しやすいキャラなので、これからもどんどん出すぜ!
あと伊角さんと奈瀬はくっつけちゃいましたー(笑)
伊角さんにはああいう気の強い女性がお似合いかと〜。
櫻野さんでも良かったんですが…やっぱり年齢的に違和感を感じたので…。
最後に佐為ちゃん。
かーなーりー可愛いかと思われます。
だってあのヒカルとアキラの子供だよ?!
これからの成長が楽しみですなぁ…(笑)


はい!では当然のごとく続きがあります!
まだ読んでやってもいいぜ、という方はいってみましょう!!(笑)









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