39BIRTHDAY 3●





「ぁ…ヒカル、そろそろ夕食の時間だから…、行かないと…」

「ええ?行かなきゃダメ?」

「ダメだろう…、準備してくれてるだろうし…」



結局2時間以上、十数年ぶりの子作りエッチを楽しんだ僕ら。

ヒカルが何で2食付きプランにしてしまったんだ…、と後悔しながら僕の体を解放してくれた。

着替えて12階の和食レストランへと向かう。


「ま、いっか。何か食わないと一晩中体力保たないしな」


エレベーターの中でそんなことを言われて、ギョッとなった。

まさか一晩中する気か?と。






「いらっしゃいませ」


夕食は懐石料理だった。

まずは食前酒を一緒にいただきながら、改めて

「お誕生日おめでとう、アキラ」

と祝われる。


「ありがとう…、30代もあっという間だったね」

「一瞬で終わったよな。オレまだ気持ち的には32くらいだもん」

「それはサバの読みすぎだ」

「はは、やっぱり?」


そして今後のことも具体的に話し出す。


「オレ的にはアキラ似の女の子が欲しいんだけど…」

「そう?僕似って微妙じゃないか?キミ似の子の方が余っ程可愛いと思うけど…」

「やだ!絶対アキラ似がいい!オレ似は息子だけで充分!」

「そうかなぁ…」


結論としては、どっちでもいいという話で収まる。


「問題はどう子育てするかだよなー。母さんももう65だし、やっ17年前とは体力が違うからあんまり頼めないよなぁ」

「僕が育休を長めに取るよ。1人目の時は産前産後だけでゆっくりする間もなかったから、この機会にちょっと頭も休ませようかな」

「オレも休むよ。交代交代でいけばいいんじゃね?」

「そうだね…」



17
年前の僕らはタイトル戦が絶対優先だった。

産後で辛くても、何が何でも対局地に向かっていた記憶がある。

今思うと、気持ち的にも余裕がなかったんだろう。

タイトルを取り始めたばかりで、とにかくここから転落したくないという気持ちが先走っていた。


でも――今は少し違う。

一年くらい棋戦を離れても、またすぐに戻れるんじゃないかという…心に余裕があるのだ。

タイトル獲得数が30を超えた僕らの自信の表れなのかもしれない



「ま、でもデキないことには夢物語で終わっちまうから、部屋に帰ったらまた頑張ろうな♪」

「はは…」

「でもって家に帰ってからもしばらく毎晩しようぜ!」

「…キミ、そんなに体力持つ?四十路のくせに」

「余裕だって、だってナマだし♪」

「ふぅん…」


ヒカル曰く、男側は天と地の差くらい気持ちよさが違うらしい。

そんなに違うなら、よく今まで我慢して来れたなと感心する。


「そりゃ…、アキラの気持ちが一番だからな」

「ヒカル…」

「奥さまが最優先。子供の数だって同じだよ」

「そう…」

「だから、アキラがもう一人産む気になってくれてすげー嬉しい。オレが誕生日なくらい嬉しい」

「キミの次の誕生日までに生まれてたらすごいよね…」

「はは、だなぁ」



部屋に戻ってからもお互いが満足するまで僕らは抱き合った。

もちろん翌朝も。

家に帰ってからも、しばらく。



そして――

 

 

 


「――ちょっと待って。今、何て?」


年が明けてしばらく経った頃、僕らは重大発表を朝の食卓で息子に告げた。


「だから〜9月に弟か妹が生まれるんだってば」

「……マジで?」

「マジマジ♪」



ヒカルの40歳の誕生日には、4人家族になっていた僕らがいた――

 


END

 

 

以上、2025年アキラ誕生日話でした〜。
39歳というリアルタイムなヒカアキです。
もし子供がこの時点で1人だったら、絶対アキラさんは悩むだろうな〜と思って書き始めてみました(笑)
まぁヒカルに相談したが最後、絶対に「今すぐ作ろう!後悔するの嫌だろ?な?な?」って感じで押されまくるかとw

というか、9月に生まれてるということは、誕生日後にすぐ妊娠したことになります。(というかもう誕生日のこれで妊娠した?)
39歳って20代よりだいぶ出来にくいと思うのに、こんなにすぐ妊娠したんだったら、このアキラさん、めっちゃ出来やすい体だと思うんですよねー。
よく今まで子供1人だったな…と逆に思いますね(笑)週1どころか複数回してるのにね。

ちなみに生まれたのは絶対アキラ似の女の子な気がする。ヒカルが溺愛する姿が目に浮かびますね!(笑)
もう1人くらい生まれるかもね★