●2 NIGHTS 3 DAYS●
「お土産は八ツ橋だからね!!」
という声に送り出されて、僕は2泊3日修学旅行に出発した。
集合場所は学校。
そこから東京駅までバスで移動し、新幹線でまずは京都へ。
金閣寺とか清水寺とか定番の観光地を回って1日目は終了。
宿泊先は京都市郊外の旅館だ――
「進藤のやつ、この修学旅行で何人に告られると思う?」
「絶対10人はいくでしょ」
「清水寺ん時、さっそく2組のやつからされてんのオレ見たぜ」
「マジ?!誰?」
「宮本さん。ほら、佐田といつも一緒にいる子」
クラス委員のミーティングを終えて部屋に戻ると、同室の子達が僕の話をしていた―。
「お、委員長おっ帰り〜」
「遅かったじゃん。また誰かに告られたのかよ?」
「違うって。家に電話」
自分の布団の上に携帯を放った。
「なーなー、今日だけで何人に告られた〜?」
「ひーみーつー」
「佐為君冷た〜い。オレらの仲じゃん。今夜はたっぷりそっちについて話そうぜ♪」
「い…――」
コンコン
『嫌だ』と言ようとしたその時、誰かが部屋のドアを叩いた。
「誰かな〜?」
と意味深に僕の顔を見ながら、そいつが開けに行く。
はぁ…。
逃げたい…―
「進藤ご指名〜♪」
「……」
「ほら、さっさと告られてこいって」
同室の奴らに背中を押され、部屋から追い出された。
出た先にはクラスの女の子が二人。
一人は付き添い…かな?
こんな皆が聞き耳立ててる廊下でされても困るので、取りあえず人気のない所にまで移動した。
着いた後の彼女の第一声はもちろん――
「ずっと好きだったの。よかったら付き合って下さい」
という直球のもの。
僕の返事はもちろん――
「ごめん…他に好きな子いるから…」
一気に表情が暗くなった彼女は、付き添いの子に泣き付きながら帰っていった。
はぁ…。
こっちが泣きたい…。
部屋に帰るまでの間、気分を晴らすために精菜の顔を思い浮かべてみた。
今日も相変わらず彩と碁会所巡りしてたのかな…?
今頃何してるんだろ…。
宿題中かな?
それとも緒方先生と一局打ってたり?
もしくはお風呂に入ってる頃かな?
声……聞きたいな。
消灯前に電話してみよう。
「おっ帰り〜!!」
再び部屋に帰ると、待ってましたと言わんばかりの歓迎を受けた。
「告ってきたの山城の方だろ?断ったのか?」
「うん…」
「勿体ないよなー。山城って結構可愛いのに」
「……」
「つーかさ、進藤って彼女既にいんの?断ってばっかじゃん」
「ひーみーつー」
「うわっ!教えろよ!オレらの仲じゃーん」
「お前にしゃべったら明日には学年中に知れ渡ってる気がする…」
「なっ…」
他の奴らが確かに、と吹き出した。
「遠藤もさ、木之下とこの4月から付き合ってんだって」
「へぇ…」
遠藤の方に視線を向けると、恥ずかしそうに頬を掻いてる。
「でさ、もうキスも済ませたんだって。ずりぃよなー」
「ふーん」
「『ふーん』ってお前…それは経験者の反応だな?!」
「………」
少し赤めた顔を枕で隠すと、まだしたことのない奴らが怒り出した。
「進藤お前…まさか最後まで経験済みだとか言わないよな?」
「んなわけないだろ!!」
キッパリ否定すると、皆ほっとしたように下ネタ話を始めた。
「最近じゃ高校生ぐらいになると半分以上の奴が経験してんだろ?」
「じゃあ中学生は2・3割ぐらいかな?」
「さすがに小学生はありえねーよなぁ」
「でもこの前さ、小6の子が子供産んだっていうニュース見たぜ」
「マジ?ありえねー」
「つーかさ、女子って何歳から子供産めるんだ?」
「アレが始まったら大丈夫なんだろ?」
「それっていつ始まるんだよ?」
「知らねーよ」
「でもクラスの女子はもうほとんどの奴が始まってんだろうな」
「木之下も始まってんじゃね〜の〜?」
「し、知らないって!」
遠藤が真っ赤な顔してる。
でも実際…個人差はあるとはいえ、小6ぐらいになるとほとんどの女子が生理ぐらいあるんだろうな。
小4の精菜でさえあるんだから。
てことは精菜ももう子供は産めるんだ…?
子供…。
…子供。
「何か進藤、顔赤くねぇ?」
「う、うるさいっ」
母が今妊娠してるせいか、妙に『子供』という単語に反応してしまう。
父と母がどうやって僕らを作ったのかぐらい、いくら僕でも知ってる。
そりゃあ……あんまり詳しくはないけど。
そっちの類いの本とかはまだ数えるぐらいしか読んだことないし…。
でもこのままいくといつかは僕と精菜も……そういう子供が出来るような行為をするんだよな…。
いつか…。
いつか…?
「な、なぁ、女の子って……何歳ぐらいからー……出来ると思う?」
「は?」
僕が尋ねると全員が一斉にこっちを向いた。
「出来るって……エッチが?」
「う、うん…そう」
「何歳からオッケーとかいう決まりあんのか?」
「さぁ?でもオレらの歳ならもう大丈夫だよな?12で産んだって子がいるぐらいだし…」
「後は二人の気持ち次第…じゃねぇ?」
「………なるほど」
そうだよな。
気持ち次第だよな。
当たり前だよな。
僕と精菜がお互いにしたいって思った時が……たぶんその時なんだ。
でも二人共まだまだ子供だし…それがいつになるかは分からない。
1年後かもしれないし…
3年後かもしれないし…
5年後かもしれない…―
取りあえずは今の気持ちを大切にってとこかな。
でもずっと思い続けれる自信はある。
だって僕はあの両親の子供だ――
―END―
以上、佐為の修学旅行話・その1でした〜。
そうです、その1です。まだ1日目です。
だから微妙な所で終わってたり。
にしてもヒカアキ要素が0に等しくてすみません(=_=;)
ただ単にモテモテの佐為が書きたかったんです…。
あと小6のトーク。微妙にリアルで微妙に無知識な会話、をテーマに(笑)
ちなみに私も小6の時修学旅行で京都・奈良に行きました〜。あと大阪も。
懐かしいな〜と当時を振り返りながら今回書いてみたり。
恋バナとか必須だったよね!うん。すごく楽しかった思い出が…(笑)
ちなみに海王は私立のお金持ちな学校っていうイメージが強いので、中学では九州・沖縄とか行ってると思います。
もしくは北海道。もしくは韓国・台湾あたり。
高校ではもうオセアニアとかアメリカとかヨーロッパとか平気で行ってそう(笑)
いくつか候補があって好きなのを選択、とかね。う、羨ましい…(*_*)
では次は2・3日目ですねー。