●TIME LIMIT〜18才編〜 5●
「…オレのこと好き?」
「…好きだよ」
「はは…いい『恋人』だな…ホント」
「……」
偽りの好きを口にする僕はロボット同然。
進藤が求めてるからそう口にするのに、それが返って彼を苦しめる。
ベッドに移った僕らは再びセックスを再開した。
進藤はずっと涙を溜めて――
僕はそんな彼を見ないよう…ずっと目を閉じて――
「オレ…この瞬間が一番好きだ…」
「え…?」
「オマエと繋がってる時。一つになってると…塔矢を手に入れた気分になる」
「……そう」
「しばらくこうしててもいい?」
「…いいけど」
ただ繋がったまま何時間も抱き合った。
たまに横になったり上になったり…体の位置を変えながらも、特に動くこともなく。
一瞬寝てしまったぐらいだから…かなりの時間が経ったはず。
外が明るくなって、ようやく抜かれた時には少し喪失感を感じてしまった。
「22日…だな」
「うん…」
「恋人の時間は終わりだ」
「うん…」
「また一年後…か」
「……」
重い溜め息をつきながら、進藤が体を起こした。
僕の方を見下ろす。
さっきまでの辛そうな目ではなく―――仕事の時の彼の目で…
「今日からまたライバルだな」
「うん…」
「今年こそオレ、桑原先生から本因坊のタイトル取ってやる」
「……」
「その時はまた…花贈っってくれよな」
ベッドサイド横に飾られた僕からのお祝い。
一輪だけ取って匂った後――僕の髪に飾ってくれた。
「…オマエも頑張れよ。本気で七大タイトル取りにこい。オレも贈ってやるから…」
「うん…ありがとう」
この年――進藤は本当に本因坊のタイトルを手に入れる。
そして碁聖も。
天元の防衛も。
ひたすらお花を贈り続けた僕だけど、僕自身に贈られることはなかった。
そしてようやく僕がタイトルを手にしたのは、進藤が僕の前から姿を消した後だった―――
「塔矢様、本日はお疲れ様でした。会場に届いたお花はどうされますか?どれかお持ち帰りになられますか?」
僕の授位式当日――会場には数え切れないぐらいのお花が届いた。
もちろん全部は持って帰れない。
閉式後、差出人のリストだけ取りあえず受け取る。
「あの…匿名のお花ってありました?」
「はい、一つだけ」
支配人がその花束を持ってきてくれた。
「きれい…」
ピンクを基調とした豪華な花束。
差出人は不明。
カードもなし。
でも僕には分かる。
「ありがとう…進藤」
―END―
以上、18歳のバースデー話でした〜。
このタイトルを機にヒカルの最強伝説が始まるのです(笑)
一方このアキラさんは遅咲き。
ヒカルと再会した時は名人と十段・王座のタイトル持ってたりしましたが、実は23歳が初めてのタイトル獲得だったり。
まぁ女流タイトルは入段時からずっと持ってますがね〜(笑)